品質からビジネスと経営を考える
「業務が属人化している…」という悩みを抱える経営者の方は多いかもしれません。 また、ある程 […]
中堅社員向け 人材 企画者向け 品質保証 品質管理 外注先との連携 技術者向け 改善活動 新入社員向け 現場向け 生産プロセス 管理者向け 経営者向け 製品を販売する「業務が属人化している…」という悩みを抱える経営者の方は多いかもしれません。 また、ある程度経験を積んだビジネスパーソンが「新しいことに取り組みたいけど今までやっていた仕事がいっぱいでなかなか手が出せない…」と思っていることもあるかもしれません。
いずれも「個人が対応することが慣例となっている業務を組織的に回せるようにフレームワーク化したい」というケースです。今回はそのために必要なプロセスを考えてみたいと思います。
(1)一般化
今あるタスクではどんな時にどんなことをしているか、顧客ごとにどう対応するか、社内の各職場向けの情報はどうやって作るかなど、個人のノウハウになっている情報はたくさんあると思います。それらを一つ一つ棚卸しして、状況別に仕分けます。ここは各個人の作業になりますが、ここである程度状況ごとに分類します。
例えば ある商品の 受注から発送までを行う作業があるとします。受注するルートはWebサイト、電話、小売店からのパターンがあるとします。Webと電話は個人への小売り、小売店の場合は小売店A社と小売店B社への卸販売だとすると、作業完了までに必要なタスクの並び方から4パターンの作業があることになります。
ここで仮に個人からの発注の場合は入金を確認出来てから発送するという条件にします。また取引が継続的にある法人の場合、請求は月でまとめている可能性もあるかもしれません。そうすると大きく流れは以下のようなものが想像できます。
1-a1. Web受注 → 在庫確認 → 入金確認 → 梱包 → 伝票作成 → 発送 1-b1. 電話受注 → 在庫確認 → 入金確認 → 梱包 → 伝票作成 → 発送 1-c1. A社から受注 → 在庫確認 → 梱包 → 伝票作成 → 発送 → 請求 1-d1. B社から受注 → 在庫確認 → 梱包 → 伝票作成 → 発送 → 請求
ここでの仕分け作業は、実際にタスクにあたる時にタスクの条件と照らし合わせて今後の対応の場合分けをする際に必要な情報となります。
その仕分け作業が済んだら、それらの中から固有名詞や特定の商品名や限定される条件を取り除きます。それによって一回り大きな情報で整理されます。例えば上の例で言うと、「A社から受注」「B社から受注」は卸売りという行為にまとまりますし、Webと電話は個人からの受注として扱うことになるかもしれません。
それらをまとめ直すと以下のように2パターンの業務フローがあることになります。
1-a2. 個人から受注 → 在庫確認 → 入金確認 → 梱包 → 伝票作成 → 発送 1-b2. 卸販売の受注 → 在庫確認 → 梱包 → 伝票作成 → 発送 → 請求
もしここでWebや電話での受注の仕方に更に細かいルーチンワークがあったりする場合は、個人向けとまとめずに別で分けたままパターンを考えた方がいいかもしれません。それはタスクの内容と実施状況によります。
この作業のパターンが作業工程(作業プロセス)になります。
(2)標準化
続けて一般化した作業工程の中に存在するタスクに誰でもわかるようなスタートとゴールを作ってタスクの標準的な処理の方法を作ります。
上記の例の中の「在庫確認」というタスクを見てみましょう。在庫確認は受注した数量が現在在庫として保有しているか確認する行為です。在庫を確認し、発送する数量をピックアップすることが在庫確認のタスクになると思います。
2-a. 在庫を保管している倉庫に行く 2-b. 該当する商品の棚の数量を確認する 2-c. 必要な数量の商品をピックアップする
しかし、在庫確認の際に発生する行為はそれだけでしょうか。仮に商品が発送するのに必要な数量なかったら購入品であれば取り寄せる、自社で作っているものなら工場で生産する必要があります。ということは2-b1で数量を確認した結果によって2-cが2つに分かれることになります。
2-a. 在庫を保管している倉庫に行く 2-b. 該当する商品の棚の数量を確認する 2-c1. 必要な数量の商品をピックアップする 2-c2. 数量が不足する場合は発注(生産指示)処理をする
更に2-c2には続きがあります。出来上がった製品が倉庫に納品されるのを待たなければいけません。この場合、発注したお客様にはお待ち頂く事になります(ここではWebや電話で受けた個人のお客様の注文ですから、Web上の注意事項や電話口などで在庫状況によりお待ち頂く旨をお伝えするようにします)。
その場合、発注した商品の入荷、倉庫への入庫(在庫数量が復活)が行われ、その上で必要な数量のピックアップが可能になり、梱包と発送処理の工程へと進みます。
2-a. 在庫を保管している倉庫に行く 2-b. 該当する商品の棚の数量を確認する 2-c1. 必要な数量の商品をピックアップする 2-c2. 数量が不足する場合は発注(生産指示)処理をする 2-d2. 商品入荷の報告を受ける 2-e2. 商品を倉庫に納める(在庫が復活する) 2-f2. 必要な数量の商品をピックアップする
このように作業を標準化する過程ではだれでもわかるような説明の仕方で、タスクの処理中に発生する可能性があるイベントについて条件分岐を作成します。
その各条件に対してゴールを設定します。ある作業プロセスの中に存在するタスクなので、分岐してもゴールは同じところに 戻ることは多いですが、そうではないケースが発生する可能性がないか注意して検討する必要があります。
そうではないケースの典型的な例は、倉庫に在庫していたはずの商品の扱いが終了していた場合などです。その場合はお客様から受注する前に受注窓口をクローズします。すでに受注した後にその注文に応じることが不可能であることが発覚した場合は速やかにお客様に連絡した上でクローズと返金処理をしますので、商品のライフサイクルと販売期間終了時の取り扱いなども検討しておくべきでしょう。
(3)明文化
ここまで検討して明らかにした作業の内容は口頭での周知で終わらせてはいけません。全体を通して作業プロセスを記載した作業工程表、各タスクの内容と判断基準を明記した作業手順書、手順通りに実施していることを継続管理するための管理表や管理チェックシートを作成します。それらを作ったら、それらの帳票類の適用範囲と保存期間を決めておきます。
【作業工程表】
ある作業がどのようなタスクで構成されているかわかるように記載した表。その作業が何のためにあり、何をトリガーにしてスタートし、何ができていれば終了なのか明示する。各タスクはどの作業手順書を見ればできるのかがわかるように、作業を構成するタスクに対応する作業手順書の書類番号を記載する。
【作業手順書】
作業の中の各タスクで必要な行動や処理、判断が必要な場合の判断基準などが分かるように記載する。各タスクの開始条件や終了条件も明示する。判断基準にない状況が発生した場合の報告先を記載して、非常時対応が可能な状態にしておく。
作業手順書は写真や図などを含めてわかりやすくし、説明は手順を追って箇条書きにする。判断基準は複合して発生しない条件が望ましいが、どうしても複合してしまう場合は、判断基準に対しても場合分けをして条件が分かるようにする。
【管理表、管理チェックシート】
タスクを実行する中で継続的に確認しなければいけないこと(上記の例では在庫の数量など)はタスクを実行するたびに確認し、確認結果を表やチェックシートなどにして残す。在庫の数量でいえば発注日と発注数量を管理すれば在庫を消化する期間の把握ができる。
これらを実施しておくことで、担当者が変わった場合やメンバーが追加された場合に経験者が帯同する時間を短くすることができたり、判断を間違うケースが限定されたりします。
また明文化して残す際には必ずその職場のベテラン職員の意見を求めたり、その方の仕事の仕方を取り入れることを検討すべきです。なぜならベテランの業務にはその作業を行う中で積み重ねた工夫や、身体に染み付いたカンやコツが含まれているからで、それらは必ずその方と会社にとって付加価値になっているはずだからです。
付加価値を生むことができる条件を他のメンバーにも共有することが組織として付加価値を生み出す可能性を引き上げます。
この3つの作業を日常業務を行いながら実施することはかなり困難ではありますが、価値を継続的に生むためには不可欠なことですので、少しずつでも推進することをお勧めします。
これについては結論から書きます。これは業務や作業への慣れであり、品質を上げるために一番重要 […]
中堅社員向け 人材 品質保証 品質管理 技術者向け 改善活動 新入社員向け 現場向け 生産プロセス 管理者向け 経営者向けこれについては結論から書きます。これは業務や作業への慣れであり、品質を上げるために一番重要な資産は業務や作業に慣れたベテラン従業員の方々です。
理由は簡単で、作業の確実さ、技術の習熟度、職場環境の熟知、すべてにおいてベテランの従業員さんやスタッフさんに勝る人はこの世にいないはずです。職場を見回してみてください。その持ち場でその仕事をするのが一番上手な人は誰でしょうか。今そこで働いている方ではないですか?新しく雇った方があなたの会社で、その仕事を、今いる方より上手にできますか?少なくとも似たような作業をした人であっても新しい環境でそこにある道具を使うには少なくともいくつかは覚えることや慣れないとできないことがあるでしょう。ということは、あなたの会社で、その持ち場で、一番高い品質を出せるのは紛れもなく今いらっしゃる方です。
今いるその方の素晴らしさをこれから列挙します。
・作業が確実である
その方は長年その業務に当たられ、最適な道具の選び方も、道具の使い方も、材料の扱い方も、その工程の最適な状態も、すべて把握されています。その方はもはや理屈ではなく、身体でその作業を覚えていますので、自分がどんな状態であれ最適なアプローチで作業を完遂されています。
新しく採用した人材の教育にはその方の仕事を見せるのが一番です。いつどんなタイミングで何をしているか、あの振る舞いにはどんな意味があるか、仕上げたその製品はどのような状態か、それらをなぜ会社は評価しているか、あなたは新しいメンバーの隣に立って説明します。新しいメンバーはそのベテランを見習うべき対象と捉え、自分の業務に必要な情報を学び取ろうとするようになるでしょう。
・技術に習熟している
作業の話につながりますが、その方はとてもスキルが高く、普通であれば困難な案件もやすやすとこなしてしまいます。 その方には難しいことなど何もないようです。その方が働く姿は現場を訪問した顧客には見せるべきではありません。顧客はきっと簡単な作業だと勘違いするでしょう。笑
技術に習熟している方は新しいタスクを目の前にした時に情報を集め、あらゆる条件を考慮し、これからタスクを進めていくうえで起こりうる状況をタスクの完了までの各段階において条件分岐を作り、それぞれについて対策を講じます。そしてベストなソリューションを編み出し、タスクを最短距離で実現します。
もし可能であればあなたはその方の技術を可能な限り明文化して社内にいるメンバーに知らせるべきです。それはその方の技術を奪うことだと思ってはいけません。明文化することは組織の共有財産になり、それを作り上げたその方の功績を組織の中で確固たるものにします。更にはその方の仕事の仕方のポイントが共有されれば、今までは当人しか気にしていなかった事柄が他のメンバー、特に経験が浅いメンバーも知識として情報を得ることで実現に一歩近づきます。組織全体の知識レベルや経験レベルが今までよりも整います。その結果、ベテラン社員も今まで以上に自分の本分であるタスクに取り組むことができるようになり、その結果その方の評価が更に高まります。
・職場環境を熟知している
その方はきっと長年あなたの会社で働き、あなたの会社に来る仕事がどのようなものか、ひいきにしてくれている顧客はどのような人物で何を求めているのかをよく知っているはずです。その上、社内についてもよく目を配っていて、何か問題が起きたとき他のメンバーはどうするか、社長はどのようにしているか、そしてどのように解決するのが得意か熟知しているはずです。
あなたはその方のことを結構頼りにしていませんか?普段と変わらないようでもその方もきっとそのことに気付いていて、あなたと会社に貢献できることを何より喜んでくれているはずです。
会社、職場のメンバー、顧客に対してその方が払っている配慮は普段はなにげないものでも業務内で問題が起こった時、新しい顧客から受注した時など、課題がある中で解決の指標になるかもしれません。もしかしたらその方が率先して課題解決に向けた指針を出してくれるかもしれません。
それらの動きをあなたが受け入れることで組織はよりいい動き方をするかもしれません。もしあなたがリードを取ろうとしているならば、その方に協力を求めたら理解を示しその方の立場の中で最大限のサポートをしてくれるでしょう。
・人柄
あなたの会社でそこまでの実績と配慮を持ちながら日々勤務してくださるその方はきっと素晴らしい人柄の持ち主です。普段は不愛想だったり対応が冷たかったり、厳しく感じたりもするものですが、じっくり話を聞いてみると会社への思いと仕事への責任感を感じることができるはずです。そしてそれらは確固たる技術力に裏付けされて日々会社に還元されています。
あなたと会社ができることはその方への感謝を示し、その方が仕事をしやすい環境を作ることです。もしかしたらそれは新しい道具かもしれませんし、新しいタスクかもしれません。昇給かもしれませんし、もしポジションを要求されたら相応しい椅子を用意することがあってもいいのかもしれません。最終的にはあなたの判断ですが、その方の気持ちなら会社として受け入れられる範囲ではありますが、応えて損はないと思います。
品質を作り上げるのは人材です。お世話になったすべての方々の取り組みとご理解がなければ、今まで私が関係した製品は品質目標を達成できなかったでしょう。
多くの場合で「品質」という言葉が使われるときは出来上がったプロダクト(商品や製品、システム […]
企画者向け 品質保証 品質管理 外注先との連携 技術者向け 新入社員向け 新製品を開発する 生産プロセス 管理者向け 経営者向け 開発プロセス多くの場合で「品質」という言葉が使われるときは出来上がったプロダクト(商品や製品、システム)の品質を指すと思います。
しかし業務の中で関わる品質は品物の品質を意味するプロダクト品質だけではありません。その製品品質を作る上で業務上影響する品質について簡単にお話しします。今回は大きく以下の3項目に対してご説明します。
・ドキュメント品質
・プロセス品質
・オペレーション品質
実はこれらは特にIT関係のシステム開発業界などでは頻繁に聞く用語だったりもしますが、製造業、特に今後自社で製品開発をしたい企業には参考になる部分も大きいので、製造業目線で書いてみます。
(1)ドキュメント品質
業務中に作成されるドキュメント(書類)の品質を言います。
・必要なことがもれなく書かれているか
・体裁や項目が統一されているか(毎回書かれることが違っていないか)
・読みやすい書き方になっているか
・(図面などは)書式が間違っていないか
業務中に確認するための文面だからこそ統一しておいた方がいいこと、抜け漏れが後の作業に影響することなどが多くありますので、社内で各担当部署、各プロセスで必要な書類と項目の取り決めなど、必要なことが多くあります。
(2)プロセス品質
プロセスとは生産工程ではなく新しい製品の開発プロセスのことで、ドキュメントや作っているプロダクトの状況を作り込みの各段階に応じて確認と検証をしながら作り進めることを考えます。顧客との仕様書や図面のデザインレビューなどに臨んだことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、それらの位置づけや内容などはプロセス品質として考えるべきものになります。それ以外でも検証用の評価内容のレビューや、評価結果の報告と状況確認などもあり得ます。
ゲート管理などの方法を取り入れている会社さんもいらっしゃるかもしれません。作業と確認を組み合わせた業務の進め方そのものがここでのテーマになります。今までお伺いした会社さんでお話を聞いている限り、前工程への差し戻し条件や次工程への進行条件など、各社の進め方や考え方が出やすい部分でもあるように思います。
(3)オペレーション品質
各プロセス内での作業そのものの品質のことを指します。製造業であれば加工だったり組立作業になりますが、作業の品質が低いと当然ですがプロダクト品質は落ちます。
しかし開発中の製品の場合、必要な作業そのものが何かがまだ明確ではなかったり、今までにない新しい作業を導入する場合には担当者が作業に不慣れな状態だったりして、オペレーションの品質がそもそも低いことがあり得ます。
その場合は工程設計のための工程開発プロセスを製品開発のプロセスと同時に立ち上げ、作業者の人材育成とスキルマップの作製などを同時に進めた方がいい場合もあります(具体的なタイミングについては開発中の製品と作業内容によりますので詳しいご質問はお問合せにてお受けします)。
特に製造業の場合は量産時の品質安定が課題になります。工程設計のタイミングでは加工や組立ての量産バラつきを測定することも必要です。作業者の工程能力にあった製品設計になっているか、または作業者の工程能力を上げることができるかが検証ポイントになります。
如何でしたでしょうか。製品開発に取り組むとき、または自社の業務を見直すとき、品質は見直す目的であると同時に観察、計測する対象にもなり得ます。
これらを組み合わせて構築された業務でプロダクト品質は構成されますが、製造業の場合、実際の加工や組み立てでは量産バラつきが発生しますので、これらを意識しながらプロダクト品質を作り込むことを忘れないでください。
品質に関わる職場にお勤めの方は多くいらっしゃると思いますが、ご自身の部署のお名前は何でしょ […]
マーケティング 企画者向け 品質保証 品質管理 外注先との連携 技術者向け 改善活動 新入社員向け 新製品を開発する 検査 現場向け 管理者向け 経営者向け 開発プロセス品質に関わる職場にお勤めの方は多くいらっしゃると思いますが、ご自身の部署のお名前は何でしょうか?「品質管理」でしょうか。「品質保証」でしょうか。もしかしたら「検査」という名前がついているかもしれません。
ちなみに、お勤めになっている企業ではどのような業務を行っているでしょうか?顧客から図面や仕様を受け取り加工したり実装したりして納品している企業は多いかもしれません。中には自社で企画し、提案・受注している企業もあるかもしれません。もしかしたら主な顧客は一般ユーザで、自社で企画、開発した製品を製造して販売している会社にいらっしゃる方もいると思います。
これらはどれも似ている言葉のように聞こえますが、違う意味を持ちます。特に組織の中で要求される要素としては大きく違う意味を持ちます。今回は簡単にそれらの違いを確認しておきたいと思います。
・管理と検査
検査とは決められた検査項目に対して検査基準を満たしているかどうか、対象物(出来上がった製品など)の合否判定を下すことです。検査でわかるのは検査基準を満たしてるかどうかのみです。検査をする前に、検査をする項目と検査基準を決めておく必要があります。
そして管理は検査項目と検査基準に対する検査結果の変動を管理します。工程内検査や日常管理の状況を把握して、基準値から逸脱もしくは逸脱する可能性が見られたときは改善活動を実施して、安定状態に戻るようにします。
根本的な管理と検査はこのようなところで、多くの企業や業種でそれぞれのやり方があるでしょう。特に製造業関連では日常管理や検査データなどを顧客企業から求められている方も多いと思うので、より業務の中で取り組まれている方は多いと思います。
・管理基準はなぜできるか
ではそれらの管理基準はどのように作られるのでしょうか。そもそもそれらはなぜ管理しなければいけないと考えられているのでしょうか。
部品などを加工して納入している製造業などの業種の方は、顧客企業からオファーがあった時「ここの部分をこうしておいてほしい」とか「これは相手方の部品とここであたるからこの部分は精度を高く」とかいうオーダを同時に受けていると思います。
これらはみなさんの顧客である完成品メーカの設計者が製品設計をした時に「そこを管理するべき」であったり、「ここを部品の機能上このように使う」などと考えて作っているわけですが(加工方法と部品設計がマッチしていないケースが多いといわれる加工業者さんも多いかもしれませんが…)、そもそもその製品が図面になるまでの過程があります。
その過程を開発中と仮定して大雑把に書き出すとこのようなります。
商品企画 → 要件定義 → 仕様 → 製品設計(ここで図面化)
そしてそのあとも、
部品検査 → 組立(工程設計)→ 評価 → 量産性検証 → 量産可否判断
という流れを追います。その結果として、販売できる商品としての形になるわけですが、ここでそもそもの商品企画の中で達成したい目的(商品を販売することで提供できる価値)を実現するために、要件が定義され、仕様が決定され、製品が設計されます。
つまり、加工段階まで形になった部品というのは組み込まれる製品を通して価値を社会に届ける使命を帯びています。そしてその使命は品質管理と検査として、部品加工を受注した企業に対して要求されます。
・品質保証が保証するもの
完成品メーカの品質保証担当者はよく「最後の砦」的な表現をされますが、それはあまり正しくありません。なぜなら上記の開発プロセスにある工程すべてに品質に影響する要素があるからです。
要件定義で定義されているべき価値を実現するための機能に曖昧さがあれば仕様の精度が上がりません。仕様の精度が上がらなければ製品設計時に不確定要素が入り込みます。設計上の不確定要素は管理項目の定義ミスや工程設計への遅れ要素となります。当然評価するべき機能の実現も怪しくなります。
部品加工時に完成品メーカの品質保証担当者が話をしているのは部品の寸法精度とその管理の話だけでも、実はその先に製品への影響と、社会へ提供できる価値の話が含まれています(品質保証担当者の仕事はもちろんそれだけではありません)。
翻っていえば、今まで受託でのビジネスしか行っていなかった企業が自社の企画を立ち上げ、直接社会に対して製品やサービスを立ち上げる際には、今完成品メーカがやっていることと同じことは最低限考えるべきことです。
それが「品質管理」から「品質保証」へ移行する第一歩となるでしょう。
最近は働き方の話題も増え個人でもお勤めしている仕事のほかに副業をされる方がいたり、企業でも […]
マーケティング 企画者向け 技術者向け 新製品を開発する 現場向け 管理者向け 経営者向け 製品を販売する 開発プロセス最近は働き方の話題も増え個人でもお勤めしている仕事のほかに副業をされる方がいたり、企業でも新規事業を始めようと思う会社さんも増えていると思います。
そんな時には「好きなことを仕事にしよう!」とか「やりたいことやろう!」などと言われることがあります。やっぱりみなさん自分の好きなことを仕事にするとか、華々しい企画を立ち上げらあれる企業になりたいという気持ちが押さえられないんですよね。わかります。自分もそうでした。
・やりたいこととできることは別
ただ現実的には必ずしもそうはいきません。時間の問題、資金の問題、技術の問題、会社だったら人材の問題が立ちはだかります。
【時間の問題】
既に抱えてる案件、普段からやっている仕事(個人の方であればお勤めしてる時間)があればその分の時間は確保する必要があります。そしてそれを終わらせた空き時間は必ずしも多くありません。
【資金の問題】
個人であれ企業であれ、自由に使えるお金は潤沢じゃないケースも多いです。生活したり旅行したりするくらいなら問題ない貯金額でも、事業を起こすとなると心もとない額にしかならなかったり、企業でも次の案件の仕入れに必要な資金は取っておかないと仕事が回らなくなってしまいます。
【技術の問題】
今まで楽器を一切やったことがないのに「音楽が好きだからギターを弾いて演奏してお金をもらいたい」と思っても、すぐにお金を取れるほどギターが上手くなるわけがありません。つまりやったことある事、もともとできることしか仕事になりません。
企業であれば、生産設備があるかどうかが大きい問題です。金属の切削加工を生業にしていた会社が化学薬品メーカに転向するとなると設備も技術も違います。
【人材の問題】
仮に自分がギターを弾けても、他の楽器ができる人がいないとバンドが組めません。新しい設備を導入してもそれを稼働させるための人と技術がないと稼働できないのです。
今の自分にできることを考えると、案外やれることは限られてくると思います。「やりたいこと」の中から、特に自分にとって「できること」が浮き彫りになってきます。
・できることを「パッケージング」する
「パッケージング」とは製品や商品を包装すること、その包装を考えることです。
それと同じように、そのやりたいことの中から浮き上がってきた自分ができることを、他の人から見えるように、他の人が買えるようにしてあげる必要があります。
ギターを弾ける人が、バンドは組めなくても一人で弾き語りをしたり、自分でオリジナル曲の作曲を始めてみたり、「商品」になる形にします。
私も、今はカメラマンとしても活動していますが、そもそもそれはお客様からご依頼を頂いて撮影することをやったことから始まりました。仮にそれが売り上げにつながらなくても、ボランティア活動であっても、商品として提供できる形になっていることが大事なことだと思うのです。
・「パッケージング」を考えると、やるべきことが見えてくる
商品の形を考えると、その形にするために考えるべきことが見えてきます。先ほどのギターを弾ける人が商品を作ることを考えてみます。
(1)ギターを弾ける人が一人で弾き語りをしてみる
→今まであまり歌ってこなかったのならば、歌の練習もする必要がある
(2)自分でオリジナル曲を作ってみる
→作曲の勉強を始めてみる
どうでしょうか?これらはやりたいことを実現しようと思わなければやらなくて済んだことです。でもやりたいことに付随することであればやるべきこともできそうな気がしてくるかもしれません。
企業であれば、今までとは異なる業務が発生するかもしません。新しい設備を導入しなければいけないかもしれません。そのために人を雇うことになるかもしれません。でもそれは必要なことなのです。やりたいことを実現するためならば。
・やりたいことを想えば想うほど、やるべきことが増える
やりたいことというのは仕事のきっかけであって、実際に仕事をする時には「実際に自分はそれをこなせるか」とか「ちゃんと納品することができるか」という、いわゆる「加工」の作業や「管理」が発生することになります。実際に売り出した後には売りに歩く「営業」の仕事や、実際にその商品がお客様に受けているかを確認し、受けていないならば受ける形を探っていく「マーケティング」の作業が待っています。
これらを見てどう思うでしょうか。実はお勤めの方であれば社内にある各職場の仕事だったり、企業であれば既存事業のとしてすでにやっていることだったりすると思います。
つまり、お勤めになっている会社や既存事業では「やらなければならない」仕事ばかりが多い理由は、もうすでに誰かが「やりたい!」と想い始めたことが「やるべきこと」に落とし込まれて事業という形になっているからです。
これは自分で新しいことを始めても、ゆくゆくは同じ状況になります。やりたいことがある人、新規事業を起こしたい企業のみなさんは「やらなければならないこと」に追われる覚悟を持って、ぜひ挑戦しましょう。
弊社では写真や映像製作のお仕事もさせて頂いております。そんななか、最近はサイト制作やパンフ […]
マーケティング 企画者向け 新製品を開発する 経営者向け弊社では写真や映像製作のお仕事もさせて頂いております。そんななか、最近はサイト制作やパンフレットのご相談など、写真を使用するPR用制作物のご相談も増えています。
パンフレットやWebサイトはそのクライアントの方のやりたいことや思いが表現される物なので、クライアントのご意向やお気持ちをおうかがいしてどのようなものにしたいかを考えていきます。
その中で結構多いのが「写真を見てイメージを決めたい」、「写真が大事だから吉田さんまず撮ってよ」というお話です。これは弊社の、ひいては私の写真を気に入って頂いている証で、とても嬉しい名誉なことです。しかし、クライアントのお気持ちにあるのは写真を気に入ってくださるそのお気持ちだけではないようです。
そんな時のクライアントは「写真を見ながらサイトやパンフレットの雰囲気を決めよう…」とも思ってらっしゃるケースが多いようです。つまり、自分達の会社、仕事、製品のどこをどのように見せたらいいのかわからない、どのようにまとめるかアイデアがわかないなど、迷っている状況だということです。
企業のPRのためのサイトやパンフレットなどでは会社や製品、サービスの特徴だったり、魅力的な部分など、自社が見せたいと思う部分を見せがちです。ただ実はそれだけでは不足で、お客様が見たい、欲しいと思っている部分も適切に表現する必要があります。更にはお客様が想像していないけど、知るとお客様のメリットになったり魅力的に感じたりする部分が見せられたら最高です。
サイトなどで見せるべきものが定まらないということは、二つの要因があります。
商売している人が自分の売り物を適切に理解することは大事なことですが、一方でそれが難しいことであるのも事実です。実際、「これは売れるぞ!」と思った商品が売れなかったり、「この商品の売りはここだ!」と思ってても、実際に買う人は違う理由で購入を決めていた、お客様が当初は想像していない使い方をしていた、などという経験は多くの方がしていると思います。これはそのまま「自分がいいと思っている部分」と「お客様がいいと思っている部分」が乖離していることを示します。
大手企業でも「宣伝部」などコンテンツ制作を社内で行うことがなくなった現在、カメラマンはクライアントにとって部外者です。かつ、カメラマンは視覚を主に使って、その企業や製品、サービスに含まれる表現したいストーリーを形にします。つまり部外者の視点を持って観察しています。更に出来上がった写真にはピントが合った所とぼやけたところができ、被写体の何を表現しようとしたか一目瞭然です。一方で、その前段階(お仕事の依頼を受けた段階)では、クライアントが考えているイメージをカメラマンは詳細に聞くことができます。
これによって、カメラマンの中では社内の視点(クライアントがいいと思っている部分)と社外の視点(お客様がいいと思っている部分)が同時に存在することになります。これはマーケティングのための調査をしているのにも似ています。この内容を元に、写真はもちろんパンフレットやWebサイトなどの制作物の方針も詰めていきます。
つまり、写真撮影を最初に依頼される方が考える「写真を通して自分たちの価値を再確認しよう」というアプローチは、写真撮影がPR用の制作物を作るプロジェクトの中でプロトタイピングとマーケティングの位置にあることと同じ意味を持ちます。
プロトタイピングとは「まずやってみて、その製品が作れるのか、作る意味があるのか調べてみる」ことを意味します。「やってみた結果」を見て、「結果を使った調査」をして、プロダクトに対する要求(要件定義)や仕様を考え、改善したり、複数の職種・業種にまたがるプロジェクトチームの認識を合わせて以後のコミュニケーションを円滑にしたりするためのプロセスです。
部外者をプロジェクトに投入するのは多くの場合で困難を伴います。なぜなら、部外者はそのプロジェクトの意味も、発案した人物や企業に関する情報も知りません。事前情報がないためプロジェクトメンバーと方向性が一致せず、受け入れた側が突拍子もないと感じる意見ばかりが出て「結局何の役にも立たなかった」と感じて終わってしまうことすらあり得ます。
では何故カメラマンならいいのかというと、上でも書いたように、依頼を受けた段階でクライアントは何を求めているか確認できるタイミングがあるからです。カメラマンに写真を発注すると必ず「どんな写真が欲しいですか?」と問われます。この問いのみで明確なイメージを伝えられるクライアントはほぼいませんので、追加でご質問をしていくことになります。
写真を使う目的が何か、被写体が何かにもよりますが、打合せの中で撮るために必要な情報を聞きだしていきます。弊社ではこのタイミングで、製造業でもよくつかわれる「なぜなぜ分析」と同じアプローチをします。被写体と作りたい制作物のお話を聞きながら、何を見せたいのか、クライアントはその被写体になるものをどのように育てていきたいのかを丁寧に聞き出します。
一方で部外者は時と場合によればユーザになる立場です。カメラマンが入ることで、カメラマン自身の中に「この製品ってこういう風に使えそうだな」とか「この被写体はここがすごく魅力的だな」とかいう感情が生まれます。そこで弊社では必ずクライアントに「最初に拝見した時、こういうところがすごくいいなぁと思いました」などと実際に感じたことをお伝えするようにしています。
そうするとクライアントの反応が悪いことはまずありません。こちらが感じたこととクライアントの思いが一致して「そうでしょう!」となるか、こちらの印象に対して意外な感想を持ち「そうお考えになりましたか」となるケースが多いです。前者の場合であれば、制作物のイメージを作るまで一直線に進みます。後者の場合ですとクライアントのイメージと弊社の印象のすり合わせを行い、方針を決めることになります。
その時、弊社は相手のいいところ、魅力的なところが明確にイメージできていることが求められます。まだ世に出ていないものの場合、マーケティングとしてはこの段階ではサンプル数は1なのでデータとして信用に足るものではないのは当然です。だからこそ、自分が何を感じたのか、その印象はなぜ生まれたと考えられるかを丁寧にご説明する必要があるのです。その結果にクライアントの視点とお客様の視点が交差するポイントが生まれるのです。
この様な理由で、写真はPR用プロダクトのプロトタイピングとして有効な一手法になり得ます。
・2Sの意味 これまで、5Sは前半の3S(整理・整頓・清掃)と後半の2S(清潔・しつけ)に […]
人材 企画者向け 品質保証 品質管理 技術者向け 現場向け 生産プロセス 管理者向け 経営者向け 開発プロセス・2Sの意味
これまで、5Sは前半の3S(整理・整頓・清掃)と後半の2S(清潔・しつけ)に分かれるというお話をしました。その中で「職場の清掃は管理の第一歩」というお話までしました。
5Sのストーリー
5Sの中身と組織力1
ここでは後半の「清潔」と「しつけ」についてです。5Sのストーリーの中では、後半は以下のような意味を持つというお話をしました。
清掃が済んだら職場がきれいに、清潔になりましたね。せっかくきれいにしたので、他の人にもこのやり方を伝えて(しつけ)この状態を維持しましょう。
ここで清潔が意味しているのは職場の状態です。加えて、しつけが意味しているのは情報共有と教育です。この二つは組織として業務を行う上で非常に重要な要素です。一つ一つを見ていきましょう。
・状態を維持するためには「状態を定義する」ことが必要
清潔とは回りくどい言い方をすれば「清潔な状態」を意味しています。自分の部屋ならともかく、職場の整理、整頓、清掃であれば「どのような状態になっていたら終わりにしていいか」を決めておかないと、整理、整頓、清掃をする人が変わるたびに終わった状態が変わることになります。これはすなわち清潔な状態を定義することが求められています。
これは職場ごとに、整理の基準、整頓の仕方、清掃の方法などそれぞれの内容と、その結果がどうなっているべきか、どうなっていたら業務がはかどるのかを決めておきなさい、ということを意味します。
それぞれについては、例えば以下のようなことを考えることになります。
【整理】
要るものと要らないもの、未使用品~使用途中~使用済み品の分け方や分ける基準
【整頓】
要らないものの捨て方、要るものの保管方法、 使っていない道具の収納場所や収納方法の決定
【清掃】
掃除機やほうきなどでゴミやホコリを取り除くだけにするのか、雑巾を使った水拭きや、洗剤を使った洗浄が必要なものか、それらをやった結果どの程度きれいになっていればいいのか、日常の清掃はどこまで実施し大掃除の時は何を実施するかの決定
「状態を定義する」とは、 作業内容と方法と判断基準が示されていることです。「普段の清掃作業ではここまで」とか、「年末の大掃除の時はここまで」とか言ったような誰でも明確な基準を作ります。
・状態を定義することで共有と教育ができる
ここまで来て、業務を進めるうえで重要な概念に到達します。「しつけ」、つまり教育ですが、職場に新しい人が入ったり新しいやり方を作ったりしたら、職場での仕事の仕方や新しく作ったやり方をみんなに伝え(情報の共有)、覚えてもらうことで他の人でもできるように(人材の教育)なります。
3Sを実施し、 「清潔な状態」を定義すれば、あとは人材教育を実施することで、5Sは完成に大きく近づきます。
情報の共有と人材の教育に必要なものは明文化された情報です。状態が定義されていれば、その状態の説明をし、その状態を作るための方法を記載すれば、明文化が完成します。
これを教育資料として定期的に組織のメンバーに周知する機会を作れば教育が実施できている状態となります。業務によってはここでスキルマップを作り、各メンバーの達成度を記録するなどして、習熟度の確認ができるようにします。
・5Sは組織力の第一歩
つまり、5Sとは職場環境の整備をテーマにした組織化のプロセスそのものだったのです。
上に上げた「状態の定義」と「情報の明文化」を行うことで、組織力(組織の中にプロセスを構築し、対応できる範囲を拡大すること)は大幅に上がります。
ぜひ組織力を上げるための練習として、5Sに取り組んでみてはいかがでしょうか。
以前、下記の記事で「5Sはストーリーで覚えると覚えやすい」というお話をしました。その時に3 […]
人材 企画者向け 品質保証 品質管理 技術者向け 改善活動 新製品を開発する 現場向け 生産プロセス以前、下記の記事で「5Sはストーリーで覚えると覚えやすい」というお話をしました。その時に3Sと2Sに分けた形でストーリーを作りました。
5Sのストーリー
今回は前半と後半に分けた意味をご説明します。
・前半の呼び方は3S
「わが社に3Sはまだ厳しいから3Sで…」と思われてる方も多いんじゃないでしょうか。会社さんによっては2Sからやってます、というところもおありかもしれません。日常業務がお忙しい中で改善活動を行う時間が割けないという現実があると思います。
現実的にはできるだけやる事は減らしたいというお気持ちはあると思います。しかし、せっかくやるなら2Sではなく可能な限り3Sにすることをお勧めします。
・3Sは改善活動の実施そのもの
前回ご紹介したストーリーの中では3Sは「整理」「整頓」「清掃」の3つを示します。まず最初の2S(整理、整頓)することが第一歩ですが、ここでは以下の2つがポイントになります。
(1)日常業務の中で出た不用品を分類し処分すること
(2)日々の業務の中で職場に溜まった不用なもの(書類など)を定期的に整理、処分する
(1)では加工した製品と端材であるとか、使用済みの工具や備品と未使用品の整理などが考えられます。新しいボールペンが入っているはずの収納に、使用済みのボールペンが入っていたら困りますよね。
(2)では(1)に加えて長期保管書類の管理などもあります。保管年数が違うなどする場合に特に注意が必要です。紙で保存されている会社さんの場合は紙をファイリングしてあるファイルを作成年毎で分ける、などの対応をされていることが多いかもしれません。デジタルで保管している場合も整理とバックアップを定期的に行うようにします。
この(1)と(2)ができると3つめの「清掃」を実施することは簡単です。特に(2)の場合などは、年末やお盆休み前の大掃除などと合わせてやってしまえば、自動的に大掃除が「清掃」の実施になります。
(1)の場合の清掃については、日常的に清掃をする習慣を作る必要があります。しかし大掃除の時期以外は掃除の時間というのが取りにくかったりもします。その場合、始業時や終業時などのタイミングを決めたり、「〇曜日は掃除する」など特定の曜日で各持ち場を掃除したいする会社さんが多いようです。
もし週1日だけの掃除では足りないようであれば、場所を決めて曜日を分けるなどの対応や、掃除する場所をローテーションで決めて、「X回やれば元に戻る」などとするのがいいかもしれません。
・実は「清掃」の実施は管理の導入になる
ものすごく小さい職場や簡単な事務作業のみで業務が完結している会社さんでなければ、おそらく複数職場あり、書類や資料も膨大になるはずです。
上に書いたように曜日などで掃除する箇所を分けるのであれば、在籍するスタッフが記憶しておくことは現実的ではありません。その場合「月曜日はA室」「火曜日はB室」「水曜日は加工場」など、いつどこを掃除するかを明示しておく必要が出てきます。状況によっては「何日の掃除は誰がやった、終了していることを確認した」などの記録が必要になるかもしれません。
実はこれはまさに管理の第一歩です。管理の第一歩を踏み出せたかどうかが、次の2Sの実現に大きく影響します。
次回では2Sの実施についてお話ししたいと思います。
→5Sの中身と組織力2
5Sは最近では製造業以外でも知ってる方が増えたように思いますが、それをストーリーで覚えてい […]
企画者向け 品質管理 技術者向け 改善活動 現場向け 生産プロセス 経営者向け 開発プロセス5Sは最近では製造業以外でも知ってる方が増えたように思いますが、それをストーリーで覚えている方はあまりいらっしゃらないようです。ストーリーで覚えてしまうと順番も間違えず早いので、ストーリーで覚えてしまいましょう。
【5Sの順番 】
この順番通りにストーリーの中にはめ込みます。
まず、職場にある要るものと要らないものを整理しましょう。その次に要るものは適切な場所に収納し、不要なものは廃棄するなどして整頓しましょう。そうすると不要なものを廃棄した分だけスペースに余裕ができます。その空いたスペース使えばものが移動できるので、現場を清掃しましょう。 清掃が済んだら職場がきれいに、清潔になりましたね。せっかくきれいにしたので、他の人にもこのやり方を伝えて(しつけ)この状態を維持しましょう。
このようになると分かりやすくなると思います。
前半と後半の間を一行開けたのは意味があります。前者までで3S、後者の2Sを加えて全部で5Sとなります。 この3Sと2Sに分けた意味はまた改めてご説明することにします。
はじめまして。QA+は品質とそれに関連する情報からビジネスを考えたいと思い、株式会社コルプ […]
お知らせ 企画者向け 新製品を開発する 経営者向けはじめまして。QA+は品質とそれに関連する情報からビジネスを考えたいと思い、株式会社コルプが運営するメディアです。主に私、吉田が記事を制作させて頂きます。
品質は今まで日本の製造業の一番の強みでした。しかし半導体とソフトウェアが世の中に浸透した時代になり、「品質」という言葉のカバーする範囲が広がったように思います。
使用環境=ユーザの使用条件が多様になり、製品の機能が増え、それぞれが求めるものが異なるのが当たり前になりました。その結果として組織は、組織が提供する製品やサービス、環境、ユーザにとって「その品質はどうか」ということを考えざるを得ない時代になりました。
それに加え、ユーザデータの取得を検討すれば、販売された製品はその品質を以て価値を提供するだけでなく、マーケティングツールとして機能する時代になりました。よって、今は品質はマーケティングの隣接領域として認識し、組織全体で取り組むべきものです。
QA+ではそんな日々の業務のアウトプットとしての品質を考えるきっかけになる情報を、組織の品質保証・品質管理担当者のみに限定せず、様々な業種、職種、年代のビジネスに携わる方々の力にして頂くために配信していくつもりです。
時折ご来訪頂けますと幸いです。
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