メッシュの品質から自社の作業品質・製品品質を考える【アルテアエンジニアリング株式会社:人とくるまのテクノロジー展2022】
3Dモデルは設計~設計検証で導入しているメーカも多いと思います。また、作ったモデルに対してメッシュを切り評価に適用するなどすることも頻繁に行われていると思います。実物における評価に対する前段階として重要な位置を占めている要素です。
一方でそのメッシュの切り方についての評価、切られたメッシュの品質について語られることはあまり多くないと思います。また、状況によってはメッシュの切り方が職人技になっています。機械化を推進するはずの3Dモデルによる評価手法が、属人的な技能による作業を経ないと適用できないとなると本末転倒ではないでしょうか。
今回の横浜での人と車のテクノロジー展ではそのメッシュを評価対象にしたソフトウェアのアプローチを特徴とする製品群がアルテア社ブースにて紹介されていましたのでご紹介します。
1. すでに切られたメッシュの品質を評価する
複数のモデルをカタログラインナップに持つ企業の場合はモデルを流用しながら設計していることもあります。その場合にすでに切られたメッシュと、新しく作ったモデルに切られたメッシュの差があると正確な評価ができなくなってしまうことがあります。
それを解消するため、同じメッシュであるべき同一の形状をAIで自動抽出してくれる「Shape AI による形状比較」として紹介されていました。
ほぼすべての3D CADのフォーマットにも対応しているので、既に自社で持っている膨大な3Dモデルの中から似た形状を抽出し、作業を効率化できる製品だと思われます。
2. 作業者によるメッシュの切り方を評価する
担当者によってメッシュの切り方が異なったり、製品に応じてケースバイケースでメッシュ作成のコツが社内ノウハウになっていたりすることがあります。それをアルテア社では作成されたメッシュに対して各要素を設定して、ソフトに学習させ、その会社独自の、もしくはその部門で習熟した作業者のメッシュの切り方をソフトに覚えさせ、他の作業者のばらつき具合を評価して、作業者間のメッシュの切り方を安定させるなどの適用の仕方が考えられます。
シミュレーションでの評価を行う上でモデルとメッシュが複雑になる一方で、メッシュの切り方は属人性の高い領域だったと思います。それが定量的に評価できることで、技術継承と業務効率向上、最終的には作業品質の安定につながるかと思います。
製造業の各業務においても自動化が進められ、設計から加工まで一連の流れに組み込んできました。一方でその中での作業者間のばらつきやそもそもそこで扱われるデータの品質、それを使って行われる評価の品質に関しては社内ノウハウに依存して自動化・一般化が進められてきた(もしくはそれが中途半端で止まっていた)かと思います。
今後はいずれの現場でもこのような3Dデータの品質を可視化することで、最終的な製品品質の安定を目指す必要があるでしょう。
取材協力:公益社団法人 自動車技術会