ヘラー、世界初完全電子制御となるブレーキ・バイ・ワイヤー・ペダルの量産開発に着手

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フォルビアグループ傘下のヘラー社は11日(ドイツ現地)、完全電子制御ブレーキとなるブレーキ・バイ・ワイヤ・ペダルの開発を受託したことを発表しました。これにより、従来のブレーキ制御とは異なり、ペダルへの入力は完全に電子的にブレーキ系に伝達されることになります。

同社はブレーキ・バイ・ワイヤによって以下のようなことが可能になるとしています。

▪ ブレーキ指令は、バイ・ワイヤー技術により電子的に伝達される
▪ 完全電子制御で自動運転機能やブレーキ機能のカスタマイズ設定に対応
▪ 軽量素材の使用と部品点数削減により車両重量の低減に貢献
▪ バイ・ワイヤー技術を使用したペダルは、コックピット・オブ・ザ・フューチャーをデザインする
新しい長期的な可能性を切り開く

生産開始は2025年に欧州から開始する予定で、ドイツの自動車メーカに納入される予定とのことです。電気式ブレーキペダルセンサーはドイツ・リップシュタットのヘラー本社で開発されているとのことです。

リンク機構が不要になってスマートな外観になるブレーキ・バイ・ワイヤ・ペダル(提供:ヘラージャパン株式会社)

ブレーキ指令は、バイ・ワイヤー技術により電子的に伝達される

「ブレーキ・バイ・ワイヤ・ペダルはペダルがロットを介してブレーキシステムに機械的に接続されている従来のブレーキシステムの操作感を再現している」としています。
その一方で「ブレーキ指令の制御は、完全に電子的にのみ行われるため、自動運転の機能も同時にサポートされます。また、ブレーキ機能のカスタマイズ設定が可能となり、あらゆる走行シーンに対応したブレーキ力を実現します。」としています。

完全電子制御で自動運転機能やブレーキ機能のカスタマイズ設定に対応

同様に完全電子制御だからこそ「ブレーキ機能のカスタマイズ設定が可能となり、あらゆる走行シーンに対応したブレーキ力を実現します。」としています。

軽量素材の使用と部品点数削減により車両重量の低減に貢献

同機能のペダルにはプラスチックのみを使用するとし、部品重量を最大で20%削減するとしています。これは「電気自動車の航続距離を延ばし、内燃機関やハイブリッド駆動の自動車のCO2 排出量を削減すると同時に、高い性能と機能的な安全性を維持することができます。さらに、取り付けコストや部品点数の削減にも貢献します。」とし、いずれの駆動方式に対しても燃費向上と組み立てコスト、部品点数の低減によるコスト低減に貢献するとしています。

バイ・ワイヤー技術を使用したペダルは、コックピット・オブ・ザ・フューチャーをデザインする新しい長期的な可能性を切り開く

「ブレーキ・バイ・ワイヤーペダルでは、この点を解決することで、自由度の高い車室設計の新しい可能性を創出することができました。このように、電気式ブレーキペダルセンサーは、コックピット・オブ・ザ・フューチャーに欠かせない存在となっているのです。フォルシアのディスプレイとインテリアのソリューション、そしてヘラーのライティングとエレクトロニクスの専門知識とともに、我々はこの未来の分野におけるシステムプロバイダーとしての基盤を強化しています。」としており、車内の設計の自由度の向上と自社グループの優位性を元にこの分野の強化するとしています。

プレスリリース(英語版)

https://www.hella.com/hella-com/en/press/Technology-Products-11-07-2022-20408.html

【View of QA+】ブレーキバイワイヤの効果

電子制御ブレーキは従来からいくつかの車種に搭載されていたものの、昨今の自動運転車の制御も視野に入れたプロダクト化のリリースが出てきました。実際に電子制御化した方がペダルからの入力(手動操作)と自動運転時の操作(自動制御)の切り替えや相互の介入もしやすいように思われます。

同時に福祉車両などの手動ブレーキレバーなどの配置がより自由になったり、バイ・ワイヤであることから配線のスペースのみ考えればいい(ブレーキ装置とのリンク機構を入れるスペースが必要ない)ことから、より追加工事がしやすくなるなどのメリットもあるように思います。対応はメーカに委ねられますが、場合によってはメーカ・ディーラーオプションでの追加も可能になるかも知れません。

電子制御化によるメリットと、従来の「自動車を運転する」という行為そのものの自由度が上がるメリットの双方がありそうです。

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