「足りないものがある」と思うならそれはできるということ

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今まで顧客からの発注に対して、材料を加工して納品してきた加工メーカが自社で製品を作り販売しようとするといろいろな壁に直面します。今まである会社に勤めていた方が新しい職種、職場に転職しようとすると、実際に内定を得るまでに多くの企業が要求するスキルとミスマッチがあることを実感します。

今までにやったことがないことをやろうとすれば絶対にそこには足りないことがあるはずです。そして、特にビジネスにおいてやりたいと思い実際に足りないことを痛感するのは新しい領域に手を出そうとする時だと思います。

筆者は今初めて自分の会社で企画した製品のリリースに向けて活動していますが、その過程で感じたはまさにことを今のタイミングで簡単にまとめておこうと思います。

・一番どうにかなるのは方法=技術

自社製品を売り出そうにもまずは企画を考えなければいけません。実は今進めている企画はある材料と出会えたことで発想したものでした。つまりその材料との出会いがなければ思いつかなかったものでした。シーズベース、プロダクトアウトから始まった企画と言えますね。

そしてその企画を思いついた私はメーカからもらったサンプルを使用して機能試作品を作りました。それを自社が出展するあるイベントでプロトタイプとして展示しました。

そうしたらそれを見たイベント参加者はかなりの確率で私の製品に目を留めました。足を止めて見るまではいかずとも、「あれなんだろう」という表情で見ながら通り過ぎたり、時にはプロトタイプの前で立ち止まり「へー」と言って立ち去る人がいたりしました。

その中の何人かは「これどうなってるんですか?」とか「これはなんですか?」と質問して下さり、「それだったら自分はこういう時に使いたいです」と、それぞれが想定した使用シーンの話をして下さいました。

企画は思いついただけでは実行を判断するだけの情報になりません。実際に市場にリリースした時のお客さんがいなければそもそもビジネスにならないのですから、企画を思いついたらその企画にお客さんが付くかどうか確認しなければなりません。私はそれを自分が出展するイベントで実施しました。

「お客さんがいるか分からなくて不安」であれば実際に探してみればいいのです。自分が思いついた企画が本当に自分が思ったニーズがあるかどうかを確認していなければそれはビジネスではなく趣味でしかありません。

一方でその企画を思いついて、お客さんがいるとしてもそれを自社が作れるか分からないというケースもあると思います。その場合はその機能がどのように構成されるのかを考え、それを何らかの形で形作るものがこの世の中にないのか、探せばいいのです。案外やってくれる人や企業がいると思います。つまり、実は思いついたことを実現するための方法(=技術的なこと)は、案外どうにでもなるのです。

方法論が問題になるのは実際にリリースした後、コストと工数(納期)が見合わないとか、品質を市販レベルにするのに要求される作業がものすごく難しくてコストも納期も圧迫してしまうとか言う場合です。これは単純に工程設計が甘いだけなので、リリースを公表する前に量産性確認をすればいいだけです。

ちなみに量産後に量産性不良で困る人のタイプは大体決まっています。全部誰かに任せて自分では手を動かさない人です。企画を考えたのがあなたなら、あなた自身が一度は必ず手を動かしてみましょう。実現可能かどうかすぐわかるはずです。

・プロダクトアウトかマーケットインか

一応簡単に説明しておきますと、プロダクトアウトとはシーズベースで製品開発を始めることです。製品や技術が先にあって、その活用先を考える企画の立て方です。中小企業、特に製造業の方が商品開発をするときはどうしてもこの形になりがちです。元手をあまりかけないようにするため、自社にある材料と機械で開発しようとするからです。

一方でマーケットインとはニーズベースです。使い手がいて、どういう時にどういう使い方をする道具を作りたいかで、商品企画をします。

個人的にはこのどちらかで迷う必要はないと思います。理由としては買い手がつく可能性が未知数の企画に対して元手を掛けたくないのは誰でも同じで、一方でユーザがいるかいないかはどこかのタイミングで必ずわかることだからです。

上に書いたように私自身最初は品物を見てアイデアが浮かびました。その後、機能試作品を人に見せたことで、そこで聞いた意見でマーケットがあることを理解しました。ちなみに買い手になりそうな業界は複数あることが分かりましたので、今後それぞれの業界に合わせてプロモーション戦略を立てなければいけないという状況にあります。

技術が分かるというのは大きな強みです。企画さえ思いつけば実現への段取りを構築するのは早いはずです。一方でユーザの存在を見つけられていないというのはビジネスとして致命的です。

・常に新しい世界を探しに行く

歳をとればとるほど職場と家の往復で日々が過ぎていくようになる人が増えます。これは仕方のないことですが一方で新しい世界に触れないと自分の技術が必要とされる世界が他にないのか見つけることができません。かといって、違う業界の見本市や展示会にいきなり出展したところで新規の顧客が付くとは限りません。既にある業界は特に国内の業界の場合は既存の企業で成立していて新規の参入が困難なことがほとんどです。

そんな中で新しい企画と新しい顧客を発見するにはもっと思い切って視点を変化させる必要があります。今まで何気なく帰っていた自宅、自宅で生活している家族の様子から何か家事で使える物が作れないかとか、自分の趣味に通じるもので何かできないかとか、業界から、場合によっては仕事からも視点を変える必要があるかもしれません。

しかし「そんな小さい商品では自社の売り上げ構成比率が変わらない」と言って新規事業に踏み出さない企業も多いのが現状です。でも考えてみて頂きたいのは、そもそもあるかどうかすら分からない市場に新しい製品を持っていくんですから、はじめから売り上げが立つことを期待する方が間違ってるはずです。何らかの動きを起こす方が先ではないでしょうか。

技術の不足の話、ユーザの発見、企画の見つけ方と3つに分けて大雑把に書いてみました。足りない、分からないということが分かってるなら十分にアクションを起こす理由になります。

それさえクリアできれば、先へ進めるはずです。

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