品質とは管理されるべきもの

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ここまでで新製品の品質を定義し、設計してきました。

品質とは定義されるべきもの
品質とは設計されるべきもの

その品質を管理し、維持するためのシステムを構築するのが生産工程の設計です。
部品の発注先を選んだり、製品設計中から製品の構造から組立工程の構成を考えたり、量産に移行する前に試作品を使って性能や信頼性を評価をしたり、量産に移った後も工程内管理や検査や定期的な信頼性試験を実施するのも全て品質を管理して維持するための行動です。

これらが欠けたら生産する製品の品質は維持できず、歩留まりが下がるか、最悪のケースでは開発中や生産中の品質不良を検出できず市場に流出させることになります。

・開発中の品質管理

開発中の品質管理はまさに「品質の設計」で書いたような部分になります。開発中の品質管理は、製品の品質そのものは作り上げる最中なので、その製品品質を作るためのプロセスが想定通りに稼働しているかどうか、開発プロセスの業務状況が適切かがその管理対象になります。

自社がどのような開発業務を設定し、それに対応するためにどのような組織を作り、開発プロセスを運用しているか(=製品開発のためにどのような段取りをしているか)を決めておき、その通りに業務が進んでいることを確認します。

開発中の業務を通して品質を管理しますが、生産中と異なり、数値で確認するのが難しいように感じるかもしれません。そうであれば、内部監査の結果や日々作られる書類、帳票類の内容の機能に関する項目などを数えるなど、定量化する方法を検討して何らかの指標にするという手もあります。

・生産中の品質管理

生産中の品質管理の目的は開発終了し量産移行した時の品質を維持することです。

工程が当初設計した通りに稼働していることは設備の日常管理で取得できるデータや、各工程間で行われる工程内検査のデータで行っていると思います。
出荷検査で不良がなくても良品率100%にはならない

生産中の管理はこれだけではなく、製品によっては量産中にも信頼性試験を実施します。これも製品の特性や生産数から内容や対象となる抜き取り数が設定されることが多いようです。

・販売後のケア

販売後、不良品が流出していた場合には顧客の手元でその不良が顕在化することもあり得ます。その時のために問い合わせ窓口と修理対応や不良品交換の準備をしておきます。

いわゆるアフターサービスやサポート対応になりますが、この話を管理の所ですることにも意味があります。ユーザの手元で発生した不良品は、そのユーザの使用環境と使用方法によって故障が発生しています。それらは合わせて貴重なマーケティングデータであり設計データです。ですので、ユーザからの問い合わせやクレームをただ面倒なものとせず、その中から使用環境と使用条件、使い方、壊れ方を情報として収集できる体制が必要です。

特に使用環境や使用方法については注意を払って確認します。ユーザは作り手が想像もしなかったような使い方をしたり、想定していなかった使用環境で動作させたりするものです。メーカとしては「そんな使い方しないでくれよ!」と思うこともあるかもしれませんが、逆のことを言えば、ユーザは「こんな場所でこんな風に使えたらこの製品はおもしろいかも、意味があるかも」と感じているということですので、その使われ方をする市場にニーズがあるということです。もし製品仕様として対応できる方法であれば対応させることでビジネスを拡大することができます。

一方で本当に使ってはいけない方法や環境で使っている場合、取扱説明書やパッケージに記載する注意書きの内容が不足している可能性もあります。修理対応の件数によってはその問合せ数に対応して取扱説明書に記載する注意喚起の書き方などをより分かりやすいように変更する必要があります。これらは製造物責任に関連する問題ですのでより注意深く対応します。

ユーザの使用方法や環境が問題ないのに故障が発生している場合、単純に設計上弱い部分が顕在化していることになりますので、市場での不良発生時は開発担当者や設計担当者にも必ず情報を共有し、組織的な改善活動を行います。

これらの管理内容に対応するためには企画時、開発時に適切に品質が設計されていなければ生産時、最悪の場合には市場に向けて販売を開始してから問題が発生した場合に、対応する方法がなく製品を回収(リコール)するしかなくなるというケースも考えられますので、注意しながら進めます。

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