YouTubeチャンネル開設のご挨拶

この度、QA+ではQA+ Engineering Overviewsというチャンネルを開設することとなりました。動画内でQA+についてからご説明を始めますと、品質を軸にビジネスや事業を考えるという軸をテーマにして運営してるサイトになります。

・QA+とは

品質はよく聞く言葉だと思いますが、「日本の製品は品質が高い」ですとかそういう意味合いで使われる言葉ですけど、物を作る上で気になる要素であり、ある程度は満たさないといけない要素で、その中で品質を作っていくっていうところが高いものを作っていく上で、またそれ以外の、物を作る以外の事業でもそうですけど非常に重要ではあるのでそれを軸に、テーマに事業を考えられたらなぁというのがもともとの立ち上げの理由ということになっております。

・QA+とチャンネル立ち上げの理由

私自身が製造業で10年ほど品質保証の仕事してた経験がありまして、その中で社内も含めていろんな人と関わる中で品質っていう切り口と品質保証っていう仕事のアプローチというのはやっぱり大事だなぁと、大事と感じた理由はなんだろうというのを改めて深堀りしようとして始めたのがQA+になります。

このチャンネルなんですけれどもQA+の派生コンテンツとして「QA+ エンジニアリングオーバービュー(QA+ Engneering Overviews)」ということで、もともと品質と一言でいっても事業の形とか作っている製品、プロダクトやサービスの形で色々な捉え方があります。かついろんな取り組み方が企業それぞれでやられている。そういう取り組みとか、企業と業界ごとの品質というものの切り口とか使われ方っていうのがどういうものなのかなというのを、私自身もっと詳しく知りたいと思ったのがあり、基本的には企業さんに取材をするというのを前提にして立ち上げたチャンネルです。

・当面のコンテンツについて

今回は最初のご挨拶というのも含めてそういうご説明をさせて頂きたかったというのと、今新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行でなかなか外出も出来ないというところがある中で、まずは実際に取材活動というのも今稼働している企業さんというのはどうしても必要だから稼働しているわけで、その中でもやっぱり感染症に罹患しない保証があってやってるわけではないので、やはりそういうところに取材に行くというのはやはり今現時点ではちょっと難しい部分もあるので、やはり何らかの形で少し幅広い情報をご提供できるようにしたいなと思ってるのも一つの理由としてあります。これ以外に関しても私がお話しする動画を撮らせて頂こうと思っております。

・品質を柔軟にとらえる

そういった中で、どうしても品質と考えるとどうしても堅苦しくなりがちだったりもするんですが、実は品質ってそういうものではないんだよというか、もっとフレキシブルに捉えて事業全体を構築する上で必要なキーワードであるというのを、もうちょっとわかりやすくお話できたらいいのかなと思っております。

どうしてもその会社のやり方ですとかその会社の今までやってきたことのある内容っていうのがどうしても会社全体、組織全体に染み付いていて、そこからはみ出るというのはものすごく難しいことだったりもします。その一方で今の時代っていうのは新しいことを求められてもいるので、その難しい中でも新しい事をやらなければいけないっていう状況の中でそちらに踏み出すにはどうしたらいいのかっていうのを皆さんと一緒に考えるっていう意味も含めてテーマを探っていきたいと思っています。

・品質保証を考える

どうしても品質っていうお話はあるんですけど、品質保証っていう切り口についてはなかなかの情報がないというのが現実的なところで、私もサラリーマンをやっていた時に一番困ったのはその部分です。品質保証ってそもそも何だというのと「品質管理はちゃんとしていますよ」という会社さんはすごくたくさんあるんですけど「保証って何ですか」となった時には実際にはその区別がつかないとか区別があるとまで認識していないとか、なかなかどうしてもそれまでのお仕事の内容ですとかお仕事の仕方っていう所にとらわれる、その延長線上で考えざるを得ないっていうのが品質でもあるので、日常のお仕事からちょっと外れて、改めて「ではどういうことをやって行ったらいいだろう」「その時に品質はどう考えたらいいだろう」、そういう意味合いで情報を提供しつつ一緒に考えていけたらいいのかなと思っております。というわけで今後ともQA+をよろしくお願い致します。

またこのチャンネルでもまぁできれば定期的に週1回ぐらい程度で情報というか動画をお出しできればいいかなと思っておりますので、そちらの方もご覧頂けたらありがたいです。それではよろしくお願い致します。今回はこれで失礼します。

2020年3月にこれからの100年を想う

2020年3月現在、世界は新型コロナウイルスに起因する感染症(COVID-19)拡大の渦中にあり、各国政府からの行動制限と重症患者の治療のニュースが連日流れている状況です。それに伴い予定されていた東京オリンピック・パラリンピックも延期を含めた検討をIOCが始めるというニュースも流れました。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて東京オリンピック・パラリンピックの開催に懸念が広がるなかIOC=国際オリンピック委員会は22日に臨時の理事会を開き大会の延期を含めた具体的な検討を組織委員会と始めることがわかりました。


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200323/k10012344641000.html

東京五輪・パラの開催 延期を含めた検討へ IOC臨時理事会 (NHK NEWS WEB: 2020年3月23日 1時31分 )

行動制限の結果世界中で産業が停止し、経済不安に陥っており、日本国内でも大規模なイベントは自粛を要請され、一部は開催に踏み切る会や団体もあるものの、多くは中止もしくは延期、開催するとしても会場への入場を禁止し様子はオンライン配信されるなど、観客が集まることがないような環境を作ることが前提となっています。

その結果従来のイベント主催者、またその関連企業や旅行会社などは経営的に厳しい状況に直面しています。前年の消費税改正に輪をかけるような行動自粛と日本にとって唯一と言っていいほど明るい話題だったオリンピックの2020年中の開催可否が問われるという不遇とも思える時期に、あえて2030年以降の話をしたいと思います。

・2030年は満州事変から約100年経過する

満州事変の口火を切った柳条湖事件が起こったのは1931年です。ここから日本は満州の占領に突き進むこととなります。更に10年後の1941年には太平洋戦争が勃発します。国際関係としては1945年に連合国側の勝利として戦争は終わりますが、かつてのこの期間、主に戦地に起こった道具の使われ方は後の世界に大きな変化をもたらします。

それまで歩兵の支援が主だった戦車が単体で戦闘に起用されるように、航空機は急速な発展とともに戦力の一角を担うようになります。その結果、戦後の世界では、かつて大砲の大きさを各国が競い合うように大きくしていった戦艦は跡形もなく消え失せ、艦隊の主役は航空母艦になります。

戦車も航空機も空母も発案されてからそれまで各国で作られていました。それが第二次世界大戦の頃には使い方が大幅に変わったのです。何が境になって使われ方が変わったのでしょうか。そもそも以前のそれらは性能が足りなかったのでしょうか?実戦で大勢で使うにはそもそも数が足りなかったのでしょうか?生産技術が未熟だったから数が作れなかったのが問題でしょうか?そういう部分もあるでしょうが、問題の本質はそこにはないように思います。

・使い方は使う人が決める、という事実

そもそも、それ以前の時代にはそれらを実戦で主力として使うという発想になっていたでしょうか?言い換えれば、「これがこのように改善されれば実戦に投入可能である」という発想が起こらずして、新しい使い方が生み出されることはないのではないかという話です。

過去の使い方に縛られ、それを前提として作戦を組むことが習慣になっている人には、新しい使い方は生み出せなかったでしょう。その新しい発想につながる環境に身を置けるかということが、物事の新しい局面に切り込むために必要なことなのではないかと思います。そして、新しい使い方をイメージで来た人だけが、そこで必要な技術に目を向け、アップデートに必要な要件を考え、その要件を満たす要素技術の改善をなし得るのではないでしょうか。

・次の100年に必要な要素の萌芽はもう既にある

かつてそうであったことが次の100年にも共通するのなら、次の時代に主力になる技術や道具、材料はもう既に社会に存在するのではないでしょうか。次の100年がどのような世界になるのかを想像し、その時我々には、もしくは我々の子や孫の世代には何が必要かを考え、今手元にある材料から何かを生み出すのは我々の想像力以外にないのではないかと思います。

人と会うことができなくなって気持ちが落ち込んでいる人も多いと思います。ある人は仕事がなくなって明日の食費にも困る状況に陥っているかもしれません。またその下降線の渦中にあり気が気ではない日々を過ごしている人もたくさんいると思います。

こんな時だからこそ、その暗い気持ちを少しの間でも脇に置き、未来を思い描き、その未来のためになるであろうことをどんなに小さなことでも一つ一つ積み重ねていけたらと思います。

機能に不足がない企業に「内製化」のメリットはあるか

自社にない機能は自分で始めてみることで内製化を進めることが一般的になるというお話をしました。では業務の内製化は既に組織の機能面に不足がない企業はする必要がないのか考えてみましょう。

・組織に不足がない企業はスキルを内製し始める

組織面から当面機能の不足を感じることがない企業の場合は各職場内にあるスキルに不足を感じることが考えられます。何故なら新しいことをやろうと思ってもその新しいことに対応するスキルがないからです。ここで、新しいスキルを社内に取り込むときに取りうる方法は2つあります。そしてそれぞれにメリットとデメリットが存在します。特に人材の観点から考えてみましょう。

(1)そのスキルを持った人材を採用する
(2)社内で新しいスキルに対応するための人材を選び教育する

(1)のメリットとデメリット
・メリット
提示できる待遇にもよりますがその道のプロフェッショナルを雇うことも可能です。その点でスキル単体の品質を高めやすい方法ではあります。

・デメリット
仮にスキルが高い人を確保できても自社の方法にマッチするかどうかが分かりません。採用した人材が「自社の文化に合わない」と思われた経験がある企業も多いと思いますが、採用された方も「自分とは合わない」と感じています。

ここで、採用した企業側が「自社の文化に合わない」と感じた場合には注意が必要です。もしかしたら、採用に当たり検討していた事業を行っていく上では新しく入社した方の考え方やアプローチの方が適切であるケースもあるからです。今まで自社で行ったことのない事業や商品を扱っていく上では、社内の文化や風土、やり方を変える必要があるかもしれないのです。もしその可能性を想定しないまま、今まで社内にない技術を持った人を雇った場合、その方が離職してしまうかもしれません。これでは、組織が変わろうとしている意欲そのものを潰してしまいかねません。新しい事業のための新しい技術やそれが使える新しい人材が欲しいならば、その事業に当たる受け入れ側の企業が、入社した方を守らなければいけません。

それに加えて、新しく入社した方が言う事とやる事を、もともといる従業員(まずは受け入れ職場)が理解できるようになるまで新しい分野の勉強をする必要があります。むしろその勉強の時間が、新しい分野を社内に取り込むための礎になります。決して、人材採用のみで新しい分野への進出が完了するわけではありません。

(2)のメリットとデメリット
・メリット
社内で新しい分野の担当者を任命して一から構築することで、外部から採用する時に発生しがちな人材側のスキルと企業側の求めているもののミスマッチを防ぐことができます。ただし、社内にノウハウがない状態は同じなので、新しい事業・商品の学習と構築を進める方向を整理しながら進めることが大事になります。

元々いる従業員が担当者になるため、社内の雰囲気が理解できないなどという問題は最小限に抑えられますが、その担当者にすべてを任せすぎると、その担当者が孤立無援になって(いると当人が感じて)しまい、本人の中に無力感や諦めのような気持ちが起きることがあります。そうすると逆効果なので、社内で担当者を選出する場合でも組織的な支援の体制は必要です。

担当者がほぼ0の状態から立ち上げるので自社にあった形を作っていくプロセスをはじめから追うことができるので、それを明文化すれば教育資料とまではならなくても簡易的に手順化ができます。担当者に余裕がなければ別の人をあてがうことも検討すべきです。その方が状況を客観的に把握できるメリットもあります。

・デメリット
社内に新しく導入したい分野や技術に関する適性のある人がいるかどうかが問題になります。数名から数十名程度しかいない中小企業の場合新しい分野を勉強するのは社長の仕事になりがちですが、それより大きい組織になると、担当者を付けることが選択肢に入ります。その場合誰に任せるかが大きなポイントになります。

この時、一度に複数人を選出したてチームで学習を進める方法や、一人が不向きだった場合に別の人物を選出するということもあり得ます。それぞれの方法に応じて組織的なケアが必要であるのは変わりません。

・内製化を本質的に進める時に取る方法論

先の記事で書いた「自分でやる」を実践することを優先して考えるならば、(2)の社内で人材を確保して立ち上げることが望ましいと思います。小さい組織が「自分でやる」ことは社長がやる事を意味するのであれば、大きい組織にとっての「自分でやる」は「自社内でやる」「自分達でやる」だからです。

自社で実施する事によってノウハウを蓄積することができれば、応用もさせやすくなりますし、これから市場が新しく興ってくる場合には既存の人材だけでは対応できない場合も考えられ、その場合はいずれにせよ自社で対応することが必要になるからです。その結果地盤ができれば外部から人材採用を行っても取り組みが評価されて採用しやすくなることも考えられます。

社内に体制を構築していく上では、もちろん外部のセミナーなどの勉強会を活用することは充分に考えられます。社内に担当者を作ることでその内容を組織として消化しやすい土壌を作ることにもつながるでしょう。

・適切な投資を行う

注意すべき点は社内に担当者を作ることは最初から大規模な投資をする負担を軽減することにつながりますが、必要な投資をしなくてもいい事にはならない点です。新しく始めたい内容について設備や資産が必要であれば購入しなければそもそも何もできませんし、新しい分野の学習を進めるにしても資料やセミナーの受講もなしで始めることはできません。

新しく始める分野に必要なことは何か、そのためにどの程度の予算が必要かはある程度最初から見積もっておく必要があります。学習や構築を進めるにつれて見積もりの精度も上がると思います。

これからは「内製化」がトレンドになっていくと思う:2020年の初めに想うこと

もう2020年も最初の一か月が終わろうとしていますが、ここでこれから先の時代に向けたプロセス構築のため、今まで既に動きがあり、今後加速していくように思われることについて書き留めておきたいと思います。

製造業、特に機械加工等や大きな生産工程が必要な工業製品の分野では、自社のコアになる技術を伸ばして、それ以外の生産設備や開発能力は外注化するのが一般的だったと思います。少なくとも1980年代以降はそのような動きが徐々に進んできた時代であり、海外への移管も視野に入り、時代が進むにつれて完成品メーカも部品メーカも量産フェーズでは海外で作って海外で売る時代になりました。

今まで海外に出た企業や工程、製品の販売ルートなどの一部はまだ海外で維持されると思いますが、2020年を迎え、更には2030年代から次の100年に向けて、しばらくは「内製化」が大きなキーワードになると筆者は予測しています。その理由をSCMの成り立ちをおさらいしながらご説明します。

・SCMという言葉の裏にあるもの

製造業では専門性の高い業務を外注先として活用し、供給網を形作りますが、その例としてよく自動車メーカが上げられます。完成車メーカの供給網は強固ですが、他の業種にもこれに類する形態があります。

発注元である完成品メーカはSCM(サプライチェーンマネジメント)と呼び管理対象としています。完成品メーカが意識するのは完成品メーカが直接見ることができ統括できる稼働状況(コスト・納期・品質)ですが、一方でそれらを満たすために活動している各企業の経営状態なのかはおおもとの発注元にとっては関知しない、もしくはできないことでもあります。特にコストダウンについては毎年のように「企業努力」としながら値下げを求められている企業も少なくないと思います。

その結果、その会社の仕事をこなすことを主体にする企業が出来上がります。同じ業界、同じ顧客、類似の製品の対応を延々と続けていると、それ以外の業界や市場の開拓、新しい顧客の獲得、新規の製品や技術開発に対応するコストが上がります。経営上、実際に工数や費用も掛かりますが、取り組もうとするマインドがないと動けなくなります。有り体に言えば億劫になります。何故なら今までと同じ仕事をしていれば売り上げはあがるので、無理に新しいことをする必要はないからです。

一社依存度、業界依存度の高い系列内の「下請け企業」の出来上がりです。

・大企業、中小企業とも組織構造に不足を感じるようになる

日本の場合時代を追ってこの状況をより加速させてきたわけですが、この状況を維持しきれない状況がやって来ます。時代によって売れる商品が変わるので、必然的にサプライチェーンの組み換えが起こります。特に殊更言われるのは電気自動車の例です。自動車の原動機が内燃機関で動いていた時代から電池とモータになれば当然部品の構成が変わります。すると調達先も変わる可能性が出てくるということです。

売れ筋商品が変わると、それが取引先に発注数量の増減や新規契約や契約の終了などの形で波及します。ここまでに動向を把握し次の手を打っていれば主力商品や主要顧客を切り替えることも可能でしょうが、領域を広げる取り組みをしていなければそれも難しくなります。

大企業であれば新しい取引先を探したり、資本力に物を言わせて新しい取り組みをしている企業や商品を買うという選択肢もあります。同業種の企業を買収したりOEMで販売商品を揃えることに切り替えるなどの手です。この場合、同程度の性能の製品や、同じ外観の付属品や本体が別ブランドで流通している、などの状況が見られることもあります。これらは企業規模を問わず新しい商流、新しい取引先、新しい技術と商品を求めてサプライチェーンを飛び出さないといけない時代に入っていることにほかならず、実際に各企業がその風を肌で感じていると思います。

中小企業の場合、今までお世話になっていたサプライチェーンから出たとき、従うルールや報告する先がなくなる一方でいろいろな業務が主に自分たち(多くの場合社長)の手元に山積します。事業や商品を企画するのも、新事業の担当者の面倒を見るのも、外注先に頼むならその交渉も、商品の営業にいくのも社長の仕事です。もし売れた商品に不備があったならユーザがクレームしてくるかもしれません。その対応も受け付けはできても対応ができるのは社長である場合が多いでしょう。

・内製化が進むのは中小企業から

予算面の余裕から外注先に頼める部分があるのならまだよくて、資本力のない企業は「自分でやる」しかありません。中小企業の場合、特定の技能を持つ人材や目的にあった出力が可能な加工機などの設備を保有しています。しかし、新規の顧客をつかむ営業部隊や、ユーザクレームに対応するコールセンターは持っていないならば、それらは企画者(事実上権限が集まる社長)の仕事になります。

つまり、今までSCMの最上流に位置していた完成品メーカの品質保証体制と営業力に頼りなにもしていなかった部分がすべて自社で内製化すべき作業になります。決して一つの製品を作る上で必要な隣接した工程を内製化するのではないのです。ビジネスを進める上で必要になる組織の機能を、自社内に作ることから内製化が始まるのです。自分のスマートフォンで商品の写真を撮り、自分でチラシを作り自分の手で配るのです。

「デザイナーに頼めばやってくれるんじゃないのか?こっちには予算がないんだから安くやってくれるように頼んで、デザイナーが何か作りたいときに手伝えばいい」とお思いでしょうか?それはSCMの中で生きてきた企業が発注元の企業にやられてきたことではないですか?それで苦しくはなかったでしょうか?何故人は自分が「苦しい」「嫌だ」と思っていたことを、立場が変わったら他人にしてしまうのでしょうか?外注先に依頼する予算があっても、依頼内容を考え、適正かどうか判断をするのは発注者です。外注すれば終わるわけではありません。

仮にそう思っていないとしてもまず自社でやってみることは有効です。何故なら、一度自分でやることで外注した際にも外注先でどのようなプロセスやタスクが発生するかの想像がつくようになるからです。それらが想像できることは納期やコストの予測がついたり、依頼時のコミュニケーションがスムーズになったりと、発注者に必要な想像力の源泉になります(逆説的ですが、外注先の工程の想像がつかない大企業の若手社員が上司の指示通りの無茶を言うこともここに原因の一部があります)。

・内製することで得られるノウハウと力がある

実際に今行動している中小企業も多くある中で、それらの企業のうち一部でも自社の事業で売上を作り既存のサプライチェーンを完全に離脱せずとも複数の収益源を持つことができたならば、サプライチェーンの中でほぼ特定の顧客に依存しながら生きている企業は得ることができない他の業界の知識やたの技術分野のノウハウが手に入ります。そして、仮に自身の力のみで商品を企画し営業と品質保証業務を適切に遂行できるようになれば、日本には規模を問わずとも「完成品メーカ」として経営できる企業が爆発的に増えることになります。

それらの企業と新事業の中から規模拡大が図れるものが出れば、その企業が主体となり新しいSCMを構築するきっかけにもなり得ます。海外に生産プロセスや開発プロセスを展開するケースが起こるかもしれません。今まで同じ工業団地の中にいながら取引がなかった企業とも取引が開始できるかもしれません。同業者の仲間に仕事を発注できるかもしれません。中小企業が各々にサプライチェーンを持つことは共に生きる時代にとても必要なことのように思うのです。

そうなることは、2030年以降の日本にとって、確実に国力を増進させる一翼を担う力になると思います。そうなれば、また日本人が世界中の人々と手を取りあい、共に新しい価値を産み出すことができると私は信じています。

2020年、年始のご挨拶

明けましておめでとうございます。旧年中は9月のQA+リリースより大変お世話になりました。今年も宜しくお願い申し上げます。 2020年の年始でQA+および筆者自身としても一度書き記しておこうと思います。

・2019年、営業内容の見直しと自社の存在意義と方向性の見直し

2019年は大幅な方向転換を求められる年でした。株式会社コルプとしては写真・映像制作を軸に、本(冊子)やWebサイトなどのプロダクトの制作まで広げて営業してみたりもしました。

そんな中で、ほぼ1年を通して関わりそうだったプロジェクトのために年始から準備を始めたものの、夏前にそれがなくなったために夏はほぼ案件がなく、当然売り上げベースでもそれなりの影響を受けました。受託業務はクライアントを含めた外部の状況に左右されることを痛感しました。

とは言え、それで時間ができたためにもともと企画を考えていた本サイト、「品質保証からビジネスと経営を考えるメディア QA+( http://qa-plus.net/ )」をはじめられたり、ある学生向けNPO法人でボランティアワークをさせてもらったりできたのは怪我の功名でした。

それを通じてプロジェクトマネジメント、品質マネジメント、マーケティングの意味と、それらを機能的に持つことの意味と価値を再認識しました。

・初の展示会出展(それも業界で国内最大)

10月は株式会社コルプとして初めての展示会出展としてアパレル系のB2B即売会『PLUG IN』に出展させて頂きました。そこでは 初めての自社企画製品であるMY STAGE( http://q-l-p.com/mystage/ ) の量産型のお披露目をしました。多くの方にご注目頂き、またいろいろなコメントを頂戴することができました。

また、案件がなくなり空いた時間で短時間ながらも情報収集に行った展示会で、友人からの紹介を受けて知り合った方にお誘い頂き、映像放送関係の国内最大の展示会であるInterBEEにお手伝いとして参加させて頂きました。まさか開業2年目で出展側で参加できるなど想像もしていない規模の展示会でした。

そのInter BEEでもMY STAGEのデモ展示をさせて頂きましたが、MY STAGEは生産も、現時点では私が作業しているので大々的なプロモーションができません(なのでプレスリリースも出せていません)が、まずは細々とでも在庫と新製品開発を進めたいと思います。

もしご興味がおありの方がいらっしゃったらお声掛け下さい。訪問してのデモ動作なども承ります。

Inter BEE出展の様子(動画制作:株式会社コルプ

・株式会社コルプとQA+の2020年

2020年は2019年の反省を反映して撮影にフォーカスします。映像は一昨年、昨年と撮ってきましたが、今年からは写真でも同様ですが、筆者の得意な機械や工業製品をライティングを活かしたカッコいい雰囲気の映像表現も試みます。

まだまだ小さい規模ではありますが、本サイト、QA+も初めの2か月はほぼ毎日2000字程度の文章を書き続け、当初から皆様に見て頂き大変ありがたく思っております。そして3か月くらい経ってから検索エンジン経由の閲覧に関する数字も動き始めました。もしかしたら自分の書いたものがまだあったこともない誰かに読まれているかもと思うとなかなか不思議な感覚ですが、読者にお会いするなどして、この感覚が実感になる日を楽しみに発信し続けようと思います。

今年(からしばらく続きますが)の筆者のキーワードは【自分の中のイメージの具現化と「あたりまえ」の明文化】です。その一つが、筆者名義のYouTubeチャンネル、「Takahiro Yoshida Photography」です。

Takahiro Yoshida Photographyでは、主に3つの軸で動画を制作しております。
(1)写真作品をスライドショー化した動画(8K対応の試みの実行)
(2)写真セミナー動画(リアルのセミナーの補完、参照できる情報の拡充)
(3)カメラに関する雑談、話題の動画(筆者の興味・趣味的な観点の情報発信)

(1)については、写真を撮っているうちに見せ方として動画にした方がいい場合もありそうであると感じたこと、また編集ソフトもYouTubeも8Kに対応していたため、素材さえ8K解像度で用意できれば8K動画が製作可能であることを実証することの2点が目的としてあります。

写真用カメラは(録画し続ける間ずっとデータが貯まっていく映像用カメラと違い)1枚しか画像を撮らないため、解像度は大幅に大きいのが通例です。弊社の写真撮影業務で使用しているカメラも縦横比が違うため8Kサイズに収まらないものを、枠を付けることでクリアし、8K化しています。


(2)は、昨年初めて協業先企業が企画したセミナーに講師としてお招き頂き製品を販売したい企業様向けの「商品写真の撮り方講座」を行いました。その講座を補完する情報を自分から発信できていないことに気づいたのが、セミナー動画を始めたきっかけです。

株式会社コルプが主軸にしている撮影は商品を含めた広報・広告を目的とした写真ですので、それらにつながる方法や知識もゆくゆくはご提供できたらと思っておりますので、もしご関心がある方はチャンネル登録をして頂けますと幸いです。

(3)については、かつて筆者が趣味で運営していたカメラと写真を話題にしたブログのコンテンツの動画化という意味合いで公開しています。もしセミナー動画等を通じてカメラにご興味をお持ちになられた方がいらっしゃいましたらご覧頂けますと幸いです。


QA+は今のところ文字コンテンツだけですが、近いうちに映像コンテンツの配信を開始します。そちらの企画については実際に公開を始める際に改めてお知らせさせて頂きたく存じます。

10年スパンで考えれば2010年代が終わり2020年代に入ったということになります。筆者にとっての2010年代は環境に合わせて自分を変えていく時代でした。2011年、29歳の時に会社で座ってるのも苦しいくらいに身体を壊し、あまり他の方に話したことはありませんが、自分の担当の機種の量産立上げにも行けないという醜態を晒しました。 そこから休日などに社外の空気に触れるようにした結果、色々な方々に出会い、会社以外、自分の業界以外の色々な世界を知ったのが2010年代の前半の自分でした。

2010年代の後半にはその様々な方面の人が、何らかの形でつながり始めるという動きが見られました。そんな動きの中で自分でも独立という選択肢を2017年、35歳のタイミングで取り、2019年には自分が勤めていた業界に近い分野の展示会に出るなどといった展開を得たことは先に書いた通りです。

特に2019年などは新しくもめぐりめぐって元の所に戻るような展開もあり、どこか帰る場所があるような、またそこから何かを始められそうな感覚を得ています。2020年代は、自分と自社からも変化を作り出せる時代にしたいと思います。その中でQA+を通じてつながった皆様ともご一緒できることを心待ちにしております。

2020年も、株式会社コルプとQA+を何卒宜しくお願い申し上げます。

北陸新幹線の復旧状況

JR東日本の駅構内にある運転情報

台風19号で設備と車両に被害が出た北陸新幹線ですが、10月末時点で年内の東京-金沢間の直通列車は9割の本数を確保するとの発表があったのは以前引用して書いた通りです。

長野新幹線車両センターにおける新幹線車両の浸水被害により、限られた車両数での運用となり ます。 北陸新幹線の列車本数 は約8割となりますが、東京~金沢間の直通列車については約9 割の運転本数を確保いたします。

北陸新幹線(東京~金沢間)の直通運転再開見込みについて , 2019年10月18日東日本旅客鉄道株式会社 (引用:2019年12月23日)

先日、冒頭の写真の通りJR東日本の駅構内に掲出される運転情報に北陸新幹線の情報がありました。

それを見る限り、停車駅が多い「はくたか」は優先的に運行されるようです。利便性を優先する施策のためと考えられますが、停車駅が少なく速達列車である「かがやき」と合わせて、運行本数9割は実際に満たされている状況になっていました。

また掲出されている情報には混雑緩和への協力を求めるとして、旅客を分散する施策についても記載されています。同様の内容が記載されているJR東日本のリリースから引用します。

1. お先にトクだ値 30%引き(期間限定で特別設定)の期間にずらしておトクにご利用

2. かがやき号の立席特急券のご利用

3. 上越新幹線ご利用の検討

2020年1月6日以降の北陸・上越新幹線 臨時列車運転について ,2019年11月28日, 東日本旅客鉄道株式会社(引用:2019年12月23日)

基本的にはオフピークでの利用を促し、東京-高崎間は北陸新幹線以外の利用を促すということの様です。

最後に、北陸新幹線の運転状況の復旧ペースをJR東日本のリリースから確認しておきたいと思います。

○北陸新幹線は10月25日より暫定ダイヤで運転しておりますが、11月30日より東京~金沢間の直通列車の運転本数を100%にいたします。これに併せて東京~長野間の「あさま」の運転本数を増やします。

○また、12月27日以降は東京~長野間の「あさま」の運転本数をさらに増やします。

北陸新幹線の11月30日以降の暫定ダイヤについて ,2019年11月15日,東日本旅客鉄道株式会社(引用:2019年12月23日)

上記のリリースを読むと、11月15日の時点でもう既に「はくたか」は100%の運行に戻っていたことになります。そして徐々に「かがやき」の運転本数を増やしていく計画だったことが分かります。

恐らく11月15日リリースの情報では「かがやき」と「はくたか」の運転本数が年末には100%になっているのに対し、11月28日のリリースでは「かがやき」が80%台にとどまっているのは、11月28日のリリースには臨時列車の運転も含められているからと考えられます。

通常であれば年末年始は帰省需要があるため運行本数を増やし混雑に対応することで円滑な運行と運賃収入の確保が見込まれる時期だと考えられますが、年末から年始にかけての数日間で「かがやき」の運転本数を6%でも増やそうとするあたりに、万全とは言えない状態で差し掛かる厳しさが見てとれます。

未知なる領域へ臨むときに考える品質

2019年10月15~18日の会期で、千葉県幕張メッセにおいてCEATEC2019が開催されていました。少し遅くなりましたが、その中から今後の製造業やものづくりと、品質についての未来を考えさせられる話題について、QA+として興味深い話題について、何回かに渡ってご紹介をしたいと思います。

・日本初の月面探査実現に向けて

株式会社ダイモンは自社開発のローバーである“YAOKI”で日本初の月面探査を目指しています。CEATEC2019では、AVATAR Xの共創ブース内にて、YAOKIの走行体験を実施していました。2021年に米・Astorobic社のランダー(着陸船)に搭載され月面探査を予定しています。

ダイモン社のローバー、YAOKI。

YAOKIは小型軽量で大径車輪が特徴的なロボットで、コストが高くサイズに制限のある月輸送に対応したサイズと重量を実現し、月面での活動を考慮した走破性と強度を持たせた形状と構造になっています。砂地を再現した体験ブースでもスタックすることもなく起伏を越えることが可能でした。

ブースではリモコン操作も体験でき、実際の月面探査の際には地球上から無線制御で操作するとのことです。

月面での行動と宇宙空間の移動という通常想定される環境とは全く異なる環境条件での使用が前提となっている機械ですので、現時点で想定できる事項を可能な限り反映した設計になっているという印象です。

砂地での走破性と操作性を体験できるブース。実際に会場で参加者が操作することができた。壁面のモニターには会場にいるYAOKIから送信された映像が映し出されていた。

2021年に最初の1台を月面に送り込む予定になっているYAOKIは、ダイモン社代表の中島氏が一人で企画・開発・設計を行い3Dプリンターによる試作・製造を行っています。3Dプリンターの活用で設計変更の反映の時間短縮が可能となっており、また現時点での完成品についても設計強度を満足した個体を出展しています。

加工方法が開発フェーズとその費用、量産台数とコストとバランスするべきQCDに準じて検討されており、柔軟な開発体制や予算の見通しに影響していると感じられます。

株式会社ダイモンの中島代表。もともとは自動車の駆動系の技術者で、独立しダイモン社を創業している。

YAOKIによる月面探査事業については2019年10月29日に事業説明会が行われており、そちらも取材済みですので追ってお知らせしたいと思います。

新製品の販売環境を準備中です

2019年秋発売としている製品の販売と展示会出展や協賛のため、色々な作業をしております。製品の形態や梱包などはほぼ固まり、2019/10/23~10/25の期間で出展していたLink to Creativeでも2台ほど販売しました。

今行っている作業は以下のようなものです。

・販売サイト作り
・自社サイト内への商品ページ作り
・取扱説明書の更新
・サイト用写真の撮影

改めて自社での新製品のための画像やコンテンツを考えていると、本来誰に向けている商品か、どのようなチャネルで顧客にリーチするつもりかなど、普段お客様に問うている内容が自分に向かって来ていて考えさせられます。

ちなみに販売サイトの自社サイトの構成は、基本的に自社サイトに情報を掲載し、販売サイトにリンクする形にします。そしてお客様はそのどちらに先にアクセスしても情報を得られる形にします。製品ページと購入ページ双方に性能や仕様などを記載するか、片方にしてそのどちらかに記載してリンクするかなどは追って考えます。

販売サイトに使用するサービスは当面はSTORES.jpにしようと思います。国内でスト同様のサービスにBASEがありますが、1万円以上は月末の自動振り込みに対応していたり、英語記載などにも対応しているなど、オペレーションと今後の展開で比較的長期間使えそうに見えたのでSTORES.jpにしました。この辺りは登録時に利用規約やサービス内容をよく確認して選ぶといいと思います。またゆくゆくはAmazonでの小口販売なども利用しようと思っています。

今後販売を進めていく中で一番検討するべきは海外展開だと考えています。国内市場は縮小の一途なので、もはや国内を相手にビジネスできる期間はそう長くはないと考えていますので。

その場合はアリババなどのアジア圏に特化したサービスを利用するか、もしくはPaypaleBayを組み合わせるか、それぞれに出店するか、いずれかの方法が考えられます。これも追って調査と検討を進めるつもりです。

恐らく全世界規模だとeBayを優先した方がいいでしょう。そしてそれらで購入される場合は個人輸入の範疇になるので、各国の規制などのルールの影響を受けづらいというのもありますので、まずはそこで経験を貯めたいと思います。


それらを進めた結果、取扱説明書の内容充実がかなり重要なポイントになるかと思います。異なる文化を持つ人が同じ製品を使うとき、使い方の理解などに差が出る可能性があるので、「こんなことは言わなくてもわかるだろう」という前提に立つとかなり危険です。「日本人ならこれくらい当たり前だ」ということは、日本人以外は当たり前ではありません。そして日本人は現時点で世界の1/70しかいません。「当たり前」は全く当たり前ではなく、かなりのレアケースと捉えるべきです。

どこかのタイミングでテクニカルライティングの領域ができる人にご協力頂く事になります。そしてありがたいことにもうすでにご協力頂ける方が弊社(株式会社コルプ)には身近にいますので、まずはその方にご相談する予定でいます。


これらをすべてわかりやすく網羅するためにはイメージで見せることが重要です。そのための画像の意味や見せ方を、やはり今同時進行で検討しています。もともとビジネスとして顧客が使用する写真や映像を撮影してきましたが、自分が進めている事業の写真ともなると、何を撮ればいいかなど不鮮明な部分も多くあります。これはもう言い訳する余地もなく、自分が進めている事業に対する自分自身のイメージ不足ということですね。改めて顧客とコミュニケーションを取る時の勉強になっています。


これらの他にもアフターサービスの設定、顧客管理、返品の処理等考えることはまだまだあります。

まだこちらでは正確に商品の情報もお見せしていませんし、今後の販売のステータスと合わせて記事にしていきたいと思います。お待ちください。

北陸新幹線の直通運転再開の公式発表からJRの危機感を推測する

先週の話になりますが、2019年10月18日に北陸新幹線の被害状況についての公式情報と全線復旧目途と運転本数についてのリリースがありました。

まず被害状況から見てみましょう。

台風19号の影響による千曲川の氾濫等の影響で、北陸新幹線では長野~飯山間の線路、長野新幹線車両センター構内および新幹線車両が冠水するなど設備等に甚大な被害を受けました。

台風19号による北陸新幹線の設備等の主な被害状況について , 2019年10月18日東日本旅客鉄道株式会社 (引用:2019年10月21日)

別紙にある通り、大きく下記3点に分けられています。

(1)本線の被害
(2)長野車両センターの被害
(3)車両の被害

本線は信号用電源設備の交換が必要そうな様子が画像からわかります。車両センターも既報の通り営業車両のメンテナンスができるような状態ではないことがわかります。車両もやはり室内まで冠水し、おそらく構体内部まで浸水していると思われ、安心して運用できる状態ではないのではないかと推測されます。これは主に過去のQA+記事や他の予測情報でも推測されていた内容です。

注目するべきなのは同日発表された直通運転再開に関する情報です。

台風19号の影響 により、 北陸新幹線の一部区間(長野~上越妙高間)で運転を見合わせておりますが、復旧作業および安全確保の見通しが立ったことから、10月25日より北陸新幹線(東京~金沢間)の直通運転を再開する見込みです。

北陸新幹線(東京~金沢間)の直通運転再開見込みについて , 2019年10月18日東日本旅客鉄道株式会社 (引用:2019年10月21日)

過去のリリースで復旧目途は1~2週間、信号関係以外の復旧が必要な場合には更に期間を要するとの発表がありました。

現時点で信号関係の電源装置に甚大な被害が確認されており、この電源装置の復旧には概ね1~2週間程度かかる見込みです。ただし、信号制御装置等このほかの設備に不具合が認められた場合には、設備の復旧まで更に時間を要することになります。

北陸新幹線及び中央本線(高尾~大月間)の現況と今後の見通しについて , 2019年10月15日東日本旅客鉄道株式会社 (引用:2019年10月21日)

これは当初の調査以上の不具合はなかったということでしょう。まさに当初の見積もり通りの復旧目途となります。更に同じリリースの中で東京~金沢間の直通運転についても言及されています。

長野新幹線車両センターにおける新幹線車両の浸水被害により、限られた車両数での運用となり ます。 北陸新幹線の列車本数 は約8割となりますが、東京~金沢間の直通列車については約9 割の運転本数を確保いたします。

北陸新幹線(東京~金沢間)の直通運転再開見込みについて , 2019年10月18日東日本旅客鉄道株式会社 (引用:2019年10月21日)

上越新幹線用のE7系を優先して投入しても8割程度の本数となるということですが、興味深いのは東京~金沢間の直通列車については9割を確保するという点です。

北陸新幹線には富山~金沢間の区間運転列車である「つるぎ」があります。おそらくこの「つるぎ」の運用を減らして、直通列車の「かがやき」「はくたか」として富山以遠へも足を伸ばす形で走らせるものと思われます。その部分が「列車全体の本数は8割だが直通列車に関しては9割」という部分と思われます。

災害対応から復旧する時には暫定的に少ない輸送量から運用を再開し、設備状態を万全の体制まで復旧させるのが最善ではありますが、「つるぎ」は関西方面から北陸方面(富山)へのアクセス改善のために存在する列車です。「つるぎ」の本数が削減されるということは、多少ではあっても大阪~富山間のアクセスを悪化させる施策です。

ではなぜそこまでして直通列車を優先して走らせるのでしょうか。そもそも高速鉄道自体が長距離大量輸送のために存在するので、直通列車を優先するというのが当たり前ではあります。でも今回の判断が取られた背景には理由が2点あると考えます。

[1]航空路線対策

今回の北陸新幹線の被災に対応して、国内航空会社2社から北陸~東京便の増便が行われていました。10月18~19日の2日間にわたってANAは東京(羽田)~富山線で、JALは東京(羽田)~小松線で増便と機材の大型化を実施しています。

台風19号の影響で北陸新幹線の一部区間が不通となり、東京と北陸地方の間での移動に支障が出ていることから、ANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)では臨時便を設定するなどしている。

ANAでは、羽田空港~富山空港間で臨時便を運航。JALでは、羽田空港~小松空港間で臨時便を運航するほか、機材の大型化も実施している。

ANAとJAL、北陸新幹線の一部不通に伴い臨時便設定 , トラベルWatch, 2019年10月17日 11:59 (引用:2019年10月21日)

以下の通り、機材変更(大型化)ならびに臨時便の設定を実施いたしますのでご案内をさせていただきます。

東京(羽田)-小松線、機材変更(大型化)ならびに臨時便設定のお知らせ , 2019年10月18日 日本航空 ,(引用:2019年10月21日)

増便・臨時便のお知らせ

ANA, (引用:2019年10月21日)

新幹線は高速での長距離大量輸送が使命で、航空路線が競合になることが多いものですが、おそらく今回も被災時の対応ではあるものの、JRとしてはそのまま航空路線の利用が定着することは避けたいと考えると思います。そのためには一刻も早く全線での運転を再開するべきというのがJRの判断としてあったと考えられます。

[2]東京からの直通乗客の多さ

「被災した北陸新幹線の営業面への影響を考える」でも引用したデータを見るとわかりますが、北陸新幹線の高崎~上越妙高間(JR東日本区間:2018年度:37,056人/日)と上越妙高~金沢間(JR西日本区間:2018年度:23,001人/日)の平均通過人員ではJR東日本区間に対してJR西日本区間は約60%程度になります。

そのデータで北陸本線の平均通過人員を見ると、米原~金沢間で2018年度には25,825人だったことが分かります(データで見るJR西日本: 区間別平均通過人員および旅客運輸収入(2018年度) )。つまり、関西方面から北陸方面への輸送量を考えても東京直通列車を優先した方がよいということになったと思われます。

北陸新幹線の10月中の直通運転再開により、新幹線の便利さと存在感が再認識されたといってもいいのではないかと感じます。これから年末に向けた首都圏からの輸送力の完全復旧に向けて、おそらく製作中の上越用E7系の納入前倒しなども検討されることと思います。

北陸新幹線復旧の道すじ(報道から)

2019年10月12日~13日の台風19号の被害の詳細が日を追うごとに明らかになっております。想像を絶する被害の様子にショックを受けておりますが、各地で亡くなられた方にご冥福をお祈り致します。また被害にあわれた方にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。また罹災地域内外ともに今後の天候と状況の変化にも十分にご注意してお過ごし頂けたらと思います。

北陸新幹線の状況については過去2回にわたり予測記事を書きました。

2019年台風19号の鉄道被害と、北陸新幹線の復旧要件を考える
被災した北陸新幹線の営業面への影響を考える

そこで想定していた状況に対するJR東日本の方向性が分かる情報が一部出ていました。

北陸新幹線ではJR東のE7系が19編成、JR西のW7系が11編成を運用中。このうち長野車両センターで浸水したのはE7系8編成とW7系2編成だ。詳細を調査した上での判断となるが「おそらく廃車となる可能性が高い」(JR東幹部)という。仮に修理ができても、現地での分解や車両の陸送などに相当の時間がかかるとみられる。

(中略)

 JR東は運用の効率化を狙い、新幹線系統ごとに車種の統一を進めており、3月からE7系を上越新幹線にも投入を始めた。20年度までに11編成を順次投入して、2階建てのE4系を置き換える予定にしていた。緊急対策として「E4系を延命させ、上越新幹線用のE7系を転用する方向で検討を進める」(JR東幹部)という。

「北陸新幹線」年内に全面回復へ、JR東日本が緊急対策 , ニュースイッチ 日刊工業新聞(引用:2019/10/18)

被災車両の修繕ができないことも前提とした対応を検討しているということで、上越新幹線分のE7系の充当を見込んでいるようです。やはりE4系とE2系の延命ということになりそうです。

それでも記事冒頭にあるように、年内でのほぼ完全復旧を目指すとのことです。

JR東日本は台風19号で被災した北陸新幹線について、繁忙期となる年末までに従来同等の輸送力回復を目指す。

「北陸新幹線」年内に全面回復へ、JR東日本が緊急対策 , ニュースイッチ 日刊工業新聞(引用:2019/10/18)

また地上設備、特に検査設備に関してはJR西日本側にある設備を使用するようです。

長野車両センターでは当分、車両検査を対応できないことから、JR西の白山総合車両所(石川県白山市)にも協力を仰ぐ。すでに両社が連携して対応することを確認した。

「北陸新幹線」年内に全面回復へ、JR東日本が緊急対策 , ニュースイッチ 日刊工業新聞(引用:2019/10/18)

筆者としては場合によってはE7系の他線区の車両センターへの検査入場もあり得るかと思いましたが、どうやらそこまでの検討は現時点ではされていないようです。今後検査入場が重なるようなケースが発生すればあるかもしれませんが。

今後どのような状況が判明するか分かりませんが、いずれにせよ、軌道に乗ってきた北陸新幹線の立場を維持するためにもぜひ実現してほしいと思います。

今回の北陸新幹線の事例は被災後の復旧プロセスのケースとして、継続して情報を収集しようと思います。今後は不定期となり、またリアルタイムでの発信はできないかもしれませんが、何らかの形で情報がまとまり次第記事化する予定でおります。