「なんでそんなに忙しそうなの?」と言われたときの話

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私はあまり人に自分の状況を伝えるのが上手くないという悪い癖がありまして。そのせいなのですが、「今何をやってるんだ」とか「ずいぶん忙しそうだけど何やってるの」とか言うような言葉を過去にいろんな職場・現場で言われたなぁと思いだしましたので今日は軽く思い出話です。

新卒入社した会社で作業を覚えてきて少し経った頃、その自分ができるくらいの作業を職場内だけでなく、他職場からも頼まれごとをしたりだとかで嬉しかったのを覚えています。

そんなことが重なって結構忙しくなってしまったある時、先輩に言われました。「お前、忙しそうだけど何やってんの?」と。先輩は何か自分にやらせたい仕事があるようで、今あるものを早く終わらせろと言い残してどこかへ行ってしまいました。

その後も似たようなことがたまにあり、ある日も別の先輩からそのように言われたのですが、続けて「そんなことやってたら便利屋になっちゃうよ。そうなったら歳とった時『自分はこれなら通して仕事を進められる』っていう分野がもてなくて仕事で苦労するよ。」と言われました。若いときはある程度まとめて仕事の段取りを覚えておかないと、年齢が上がった時に組織やプロジェクトの中で役割を担当できないという意味でした。

これを言われた時にはハッとしたものの、その真意はその当時はまだあまり正確につかめていたとは言えない状態でしたが、最近でははっきりその意味が分かります。

・「自分はこれだけやっているから仕事ができる」と思う錯覚

その当時の「自分はこれだけの作業をこれだけの件数(とは言っても今思えば大した件数でもないのですが)こなしているから充分仕事をしているはずだ」と思っていても、その言葉を聞いた後で改めて考えてみると全く仕事のレベルとしては上がってないことに気が付きました。当然ですが仕事の対応範囲も広がっていませんでした。

これは実は結構怖いことで、自分の業務範囲の中でコアになるスキルを上げる理由ができないんですね。「自分で仕事を進められる」というのは状況を進捗させるために必要な情報を集め、または状況を測定してデータを生み出す能力が基礎として必要です。しかし、同じような仕事を数だけこなしていても広い範囲の状況を知ることはできないのと、どのようなデータが本来必要であるかを考察する力が養えません。
他部署からの突発的な頼まれごとはその人ができる作業のみに限定されるため、それらがあまりにも多く舞い込む状態は自分にとってあまりいいとは言えない状態だったわけです。

結果、仕事のレベルは上がらないし、頼まれた仕事や今自分の手元、自分の職場にある仕事がどのような意味を持つのか理解ができない状態にいました。これだけやってるからいいだろ、という問題ではありませんでした。

・自分の仕事が可視化されない

「頼まれてやる仕事」というのはもともと「頼んできた人がやるべき仕事」であり、「突発的にやる仕事」というのは「現状では穴があるからとりあえずその穴を埋めるための仕事」なんですね。要するにプロジェクトの状況を進捗させるものではない上に、実施したのが自分ということにならない可能性すらある仕事と言えます。

端的に言って、職場としてはこれは危機的状況です。なぜなら、自分の職場の工数が何か得体のしれない何かに吸い取られているように見えるからです。職場の配属というのは、本来その会社にある仕事を分割して、各職場に役割分担して、それらを遂行する上で必要な人材を必要な人数だけ各職場に配置しているものです。

既存のプロジェクトで穴があるならその穴を可視化してプロジェクトとしてもしくは担当職場として穴埋めの対策をする必要があるし、誰かが頼んでくるならその分の工数を(お金と時間という形で)職場としては差し引かなくてはいけなくなるはずです。

よって、なぜか自分が同じような仕事をやり続けなぜか忙しい状況が続いてしまったりします。対策が取られてないミスは永遠に繰り返されますし、自分が引き受けてくれることに味を占めた依頼者はまた頼んでくるでしょうからね。

最近若い人と話をすることが増え、そんな人たちの様子を見ていて自分の若いころの話を思い出してしまいました。

4月に入社した方はそろそろ半年経ち、先輩から仕事を教わり始める時期だと思います。そのほかにも異動があったり転職したり環境が変わる人もいらっしゃるかもしれません。案外、職場や会社はスタッフそれぞれの様子を見ているものです。あくまで自分を雇っているのは会社です。その会社の中で働いていく上で、職場と自分の役割というのは見失わない方がいいみたいです。

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